【レビュー】ミニPC 「NiPoGi E3B」 のRyzen 5 7430U搭載モデルをチェック

ACEMAGICのサブブランドであるNiPoGiのミニPC「NiPoGi E3B」のAMD Ryzen 5 7430U搭載モデルを提供頂いたので紹介します。
今年2月に同じ「NiPoGi E3B」のRyzen 7 7730U搭載モデルをレビューしており、今回レビューするRyzen 5 7430U搭載モデルはその下位モデルに当たります。基本的には同じ筐体を採用しているので、インターフェースなどは同じで、CPUのスペックに加え、RAMやSSDの仕様が若干異なっています。
今回レビューするRyzen 5 7430U搭載モデルのサンプルは32GB RAM / 512GB SSDを搭載しており、他に16GB RAM / 512GB SSDのモデルも用意されています。折角なので、Ryzen 7 7730U搭載モデルとも比較しながら紹介したいと思います。
スペック
まず、「NiPoGi E3B」のRyzen 5 7430U搭載モデルをスペックをまとめると下記の通りで、Ryzen 7 7730U搭載モデルとの違いはCPUとGPU、RAMの容量のみであることが分かります。
| Ryzen 5 7430Uモデル | Ryzen 7 7730Uモデル | |
|---|---|---|
| CPU | AMD Ryzen 5 7430U 最大4.3GHz 6コア/12スレッド | AMD Ryzen 7 7730U 最大4.5GHz 8コア/16スレッド |
| GPU | AMD Radeon Graphics 7コア 1800MHz | AMD Radeon Graphics 8コア 2000MHz |
| RAM | DDR4 SO-DIMM 32GB (メモリスロットx2/合計最大64GB) | DDR4 SO-DIMM 16GB (メモリスロットx2/合計最大64GB) |
| ストレージ | M.2 2280 SATA SSD 512GB 空きスロット (PCIe3.0)×1 (各最大2TB) | M.2 2280 SATA SSD 512GB 空きスロット (PCIe3.0)×1 (各最大2TB) |
| インターフェイス (前面) | USB 3.2 Gen 2 (10Gbps)×2 USB-C×1 (4K@60Hz/PD出力対応) 3.5mmオーディオジャック×1 | USB 3.2 Gen 2 (10Gbps)×2 USB-C×1 (4K@60Hz/PD出力対応) 3.5mmオーディオジャック×1 |
| インターフェイス (背面) | USB 3.2 Gen 1 (5Gbps)×4 RJ45イーサネットポート×1 DP1.4ポート×1 (4K@60Hz) HDMI 2.0×1 (4K@60Hz) | USB 3.2 Gen 1 (5Gbps)×4 RJ45イーサネットポート×1 DP1.4ポート×1 (4K@60Hz) HDMI 2.0×1 (4K@60Hz) |
| 無線 | Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2 | Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2 |
| OS | Windows 11 Pro | Windows 11 Pro |
| 本体サイズ | 128×128×41.3mm | 128×128×41.3mm |
搭載されているAMD Ryzen 5 7430Uは、Zen 3アーキテクチャを採用したノートPC向けCPUで、6コア/12スレッド、最大ブーストクロック4.3GHz、7nmプロセス、TDP15Wという低消費電力といった特徴を持ち、Web会議や動画視聴、一般的なビジネス作業、軽いクリエイティブ作業などを快適にこなせるバランスの取れたCPUとなっています。
GPUはCPU内蔵のAMD Radeon Graphicsで、Ryzen 7 7730Uモデルよりもコア数や動作周波数が抑えられています。
昨今、中国製ノートPCでCPU偽装が話題になりましたが、そのCPU偽装に対応した「CPU-Z」で本機のCPUも念の為調べて見ましたが、Ryzen 5 7430Uで間違いなさそうです。

RAMは最新のDDR5ではなくDDR4規格が採用されており、サンプル機に搭載されていたRAMはDDR4-2666 16GBが2枚のデュアルチャネル構成となっています。メモリのスロット自体は2つ用意されており、最大で合計64GBまで増設可能。

ストレージはRyzen 7 7730U搭載モデルと同じくM.2 2280 SATA SSD 512GBが1枚搭載されており、SATA規格の為、速度はSATA 3.0の理論値である6Gbps(約600MB/s)に制限されます。実際のベンチマーク結果は後述しますが、本製品にはM.2スロットが2つ用意されており、1つはSATA、もう1つはPCIe3.0となっているので、標準搭載されているSSDが遅いと感じる場合、より高速なM.2 SSDを増設することが可能です。

インターフェイスは前面にUSB 3.2 Gen 2 (10Gbps)を2つとUSB-C (PD出力対応)を1つと3.5mmオーディオジャックを備え、背面にはUSB 3.2 Gen 1 (5Gbps)を4つ、RJ45イーサネットポート、DP1.4ポート、HDMI 2.0を搭載しています。
無線関係はWi-Fi 6とBluetooth 5.2に対応し、本体サイズは実測で128×128×41㎜、重さは約579g。
なお、OSはWindows 11 Proが搭載されており、ミニPCで良く問題になるOSのライセンスに関してはOEM版であることを確認済みです。

同梱品や外観デザイン
デザインや同梱品は基本的にRyzen 7 7730U搭載モデルと同じで、全面が樹脂製だが、カラーリングが光沢のあるブラックで統一されている他、天板部分に細かな波状のテクスチャ加工が施されている為、価格の割には樹脂感やチープさはなく、適度に高級感のある仕上がりとなっています。

本体サイズは128×128×41.3mmと標準的なミニPCのサイズで、重さは実測値で579g。Ryzen 7 7730U搭載モデルは559gでしたが、この20gの差はRAMが1枚か2枚かの違い。Ryzen 7 7730U搭載モデルは16GBのシングルチャネル構成だった為。

同梱品は左上から時計回りに、説明書類、ACアダプタ、VESAマウント用アダプタ、各種ネジ類、HDMIケーブル、電源ケーブルといった構成。

付属のACアダプタはRyzen 7 7730U搭載モデルの物と同じく65W出力で、大きさは113×51×33㎜で、重さは電源ケーブル込みで334g。

前面は左から、電源ボタン、3.5㎜オーディオジャック、USB 3.2 Gen 2 (10Gbps)が2つ、USB-C (PD出力対応)といった構成。前面にUSB-Cポートがあるのは有り難いですが、3画面出力をする際は前面にもケーブルを挿す必要があるので、取り回しを考慮する必要あり。

左右側面は排気口のみ。本製品は天板と本体の隙間にある細い吸気口から空気を取り込み、その下に大型の冷却ファンが搭載されたヒートシンクがほぼ全面を覆う形で配置されており、そのヒートシンクに当たった暖かい空気が側面から排出される仕組み。


背面にはUSB 3.2 Gen 1 (5Gbps)が4つ、RJ45イーサネット、DP1.4、HDMI 2.0が搭載されており、前面のUSB-Cポートと合わせて3画面への4K出力に対応しています。

底面は四隅に大きめのゴム足が取り付けられており、安定感あり。中央部分の通気口のようなところは内部にミッドプレートがある為、あくまで飾りで、内部にアクセスするにはゴム足を外す必要があります。両面テープで留められているゴム足を外して内部にアクセスするミニPCは多いですが、両面テープが綺麗に剥がれない場合があり、ゴム足でネジを隠すのは見た目の面では良いですが、拡張性では少し手間になります。

底蓋を外すとミッドプレートが表れ、内部にアクセスするには底蓋とミッドプレートを外す必要あり。ネジは通常の+ネジなので、分解に特殊な工具は必要なし。


RAMはRyzen 7 7730U搭載モデルと同じSKIHOTARと呼ばれる聞いたことがないメーカーのDDR-2666 16GBがデュアルチャネル構成で計32GB搭載。Ryzen 7 7730U搭載モデルはシングルチャネルの16GB RAMでしたが、規格がDDR4-3200と1つ上のものが搭載されていました。

M.2 2280 SSDはRyzen 7 7730U搭載モデルと同じくSATA 3.0規格の512GB SSDとなっており、転送速度の理論値は約600MB/sと、最近のミニPCに比べると読み書き速度が劣る仕様で、実際の性能は後述します。また、メーカーもDerlarと呼ばれる馴染みのないメーカーのものとなっています。
M.2 2280スロットは空きスロットが1つ用意されており、こちらはSATAではなくPCIe3.0規格となっているので、より高速なシステムにしたい場合はPCIe3.0規格のSSDを増設することをオススメします。

ワイヤレスカードはSSDの下に搭載されており、MediaTekのMT7902が採用されています。MT7902は他のミニPCでも何度か確認されているチップで、Wi-Fi 6とBluetooth 5.2に対応しています。

各種ベンチマーク
実機で測定した各種ベンチマークソフトウェアの結果を紹介します。参考までに「NiPoGi E3B」のRyzen 7 7730U搭載モデルに加え、同じ世代のCPUであるAMD Ryzen 5 7530Uを搭載した「GEEKOM A5 Pro」とスコアを比較してみました。
各モデルのスペック
| NiPoGi E3B (Ryzen 5 7430U) | NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U) | GEEKOM A5 Pro | |
|---|---|---|---|
| CPU | Ryzen 5 7430U 最大4.3GHz 6コア 12スレッド | Ryzen 7 7730U 最大4.5GHz 8コア 16スレッド | Ryzen 5 7530U 最大4.5GHz 6コア 12スレッド |
| GPU | Radeon Graphics 7コア 1800MHz | Radeon Graphics 8コア 2000MHz | Radeon Graphics 7コア 2000MHz |
| RAM | DDR4-2666 32GB (16GB×2) | DDR4-3200 16GB (16GB×1) | DDR4-2666 16GB (8GB×2) |
| SSD | 512GB SATA 3.0 SSD | 512GB SATA 3.0 SSD | 1TB PCle Gen4x4 NVMe SSD (スロットの規格はPCle Gen3x4) |
PC Mark 10
「PC Mark 10」はPCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを計測するベンチマークソフトで、日常的なPCでの作業やデジタルコンテンツを操作するときの性能に焦点を当てたテスト。
有料版の「PCMark 10 Advanced Edition」では、「Essentials」「Productivity」「Digital Content Creation」「Gaming」の4つのテストグループのベンチマークを測定でき、各テストのスコアと総合スコアで性能を表します。各テストグループの詳細は下記の通り。
- Essentials
- PCの基本性能を測るテストグループで、アプリの起動速度を測る「App Start-up」、Webブラウジングに関連する処理性能を測る「Web Browsing」、複数の参加者によるビデオ会議を想定し、処理に関連する性能を測る「Video Conferencing」という合計3つのワークロードを実行。
- Productivity
- Office Suiteのようなビジネスアプリの処理性能を測るテストグループで、ワープロソフトの性能を測る「Writing」と、表計算ソフトの性能を測る「Spreadsheets」という2つのワークロードを実行。
- Digital Content Creation
- コンテンツ制作作業を想定したテストグループで、写真編集に関する性能を計測する「Photo Editing」、動画編集の性能を計測する「Video Editing」、3Dグラフィックスの表示とレイトレーシングによるレンダリングの性能を調べる「Rendering and Visualization」という3つのワークロードを実行。
- Gaming
- ゲームの実行に関わる性能を測るテストグループで、Futuremark製の3Dグラフィックスベンチマークソフト「3DMark」をPCMark 10向けにカスタマイズしたものが入っており,「Fire Strike」プリセットを実行。
スコアの目安としては、簡単な作業を行うための一般的なPCの場合は「Essentials」のスコアが4,100点以上、一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作を行うPCの場合は「Productivity」のスコアが4,500点以上、写真、動画、その他のデジタルコンテンツ編集を行うPCの場合は「Digital Content Creation」のスコアが3,450点以上が推奨されています。
「NiPoGi E3B (Ryzen 5 7430U)」の結果は下記画像の通りで、簡単な作業や事務作業等には十分な性能を示しているものの、GPU性能が弱いので、写真や動画の編集、ゲーム性能が低い結果に。

ただ、上位CPUを搭載した「NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U)」や「GEEKOM A5 Pro」と比べると意外に健闘する結果となりました。
CPU性能を必要とする「Essentials」や「Productivity」は流石に「NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U)」よりも劣る結果となっているものの、GPU性能も必要とする「Digital Content Creation」や「Gaming」は他の2モデルを上回る結果に。これはRAMの容量とデュアルチャネル構成が影響しているものと考えられます。
CPU内蔵GPUはRAMをメインRAMと共有するため、デュアルチャネルにすることで帯域幅が増加してボトルネックが解消され、ゲームや動画処理の性能が飛躍的に上がります。「Gaming」でシングルチャネル構成の「NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U)」のみスコアが低いのはそのことを示しています。

Cinebench 2026
次は、Maxonが昨年末にリリースした最新のベンチマークソフト「Cinebench 2026」でベンチマークを測定してみました。
「Cinebench」は老舗の3Dグラフィックスソフト「Cinema 4D」のデフォルトレンダリングエンジンである「Redshift」を用いた実際の3Dワークロードにより近い性能測定が可能なベンチマークソフトで、最新版の「Cinebench 2026」では最新のCPU/GPUへの対応の他、1つの物理CPUコアで複数の実行スレッドを実行する技術「SMT」(Simultaneous Multithreading)の性能テストに対応しているのが特徴で、SMTが有効な場合とシングルスレッドのときの性能差を直接比較可能です。
GPU性能の測定はシステム要件が非対応で出来ませんでしたが、結果はCPU性能の差がそのまま出た形。シングルスレッドやシングルコアはほぼ変わらないものの、マルチスレッドの場合、コア数/スレッド数が多い「NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U)」が断トツといった結果に。

3D Mark
「3DMark」はハイエンドPCからタブレットPCまで利用できる定番3Dベンチマークソフト。DirectX 12を利用したベンチマークなどが用意されており、各テストの測定内容とスコアは下記の通り。
3D Markのテスト内容
| テスト名 | テスト内容 |
|---|---|
| Time Spy | ゲーミングPC向けのDirectX 12ベンチマーク |
| Night Raid | 「Time Spy」よりも軽量化されたテスト、CPU統合グラフィックスを備えた軽量デバイス向けのDirectX 12ベンチマーク |
| Fire Strike | ゲーミングPC向けのDirectX 11ベンチマーク |
| Steel Nomad | 「Time Spy」に代わるベンチマークで、非レイトレーシングゲームの性能を測定するための推奨ベンチマーク |
| Steel Nomad Light | CPU統合グラフィックスを備えた軽量デバイスの性能を測定するための推奨ベンチマーク |
NiPoGi E3B (Ryzen 5 7430U) のスコア
| スコア | |
|---|---|
| Time Spy | 1253 |
| Night Raid | 12962 |
| Fire Strike | 3232 |
| Steel Nomad | 201 |
| Steel Nomad Light | 1061 |
「NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U)」や「GEEKOM A5 Pro」との比較が下記の通りですが、「PC Mark 10」の結果と同じく、スペック的には一番劣る「NiPoGi E3B (Ryzen 5 7430U)」がRAMのデュアルチャネルの影響もあり、全てのテストで他の2製品を上回りました。逆に、「NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U)」のRAMをデュアルチャネル構成に増設するとさらに良いスコアになることが予想されます。

ゲームは軽めのゲームであれば何とか
一部のゲームタイトルでも性能を試してみましたが、APEX LEGENDSはFHDの低画質設定で40FPSといった結果で、原神はFHDの画質最低で60FPSといった感じ。
また、ドラゴンクエストXのベンチマークテストでもFHD/最高画質であれば「とても快適」との評価結果に。解像度を上げると一気にスコアが落ちます。
本格的な3Dゲームを遊ぶためのモデルではない為、FHDで軽いゲームであれば何とかプレイ出来るといった感じでしょうか。

CrystalDiskMark 9.0.2
「CrystalDiskMark」はストレージのデータ転送速度を測定できる定番ベンチマークソフトで、キューやスレッドの数を指定したシーケンシャルリード&ライト、ランダムリード&ライトの計測が可能。
搭載されている512GB SSDはSATA 3.0接続なので、転送速度の理論値(約600MB/s)通りといった結果に。これは上位モデルの「NiPoGi E3B (Ryzen 7 7730U)」も同じような結果でした。

NVMe SSDに比べると大きく見劣りする数値となっていますが、Windowsのファイルエクスプローラーや設定アプリといった各種動作は詰まることもなく快適で、Officeのような事務作業も特にストレスを感じるような場面はなく、ファイルサイズの大きいファイルなどを扱わない限りはあまり気にしなくても良いのかもしれませんが、もし気になる場合はNVMe SSDに換装されることをオススメします。
まとめ
今年に入ってからミニPCメーカーはRAMやSSDの高騰に対応する為にRAMやSSDの規格を落としたり、1つ世代の古いCPUに置き換えたりとコストを抑えるために試行錯誤している状況。本機も搭載CPUやRAMが数世代前のものと仕様の古さは否めないものの、Web会議や動画視聴、一般的なビジネス作業、軽いクリエイティブ作業などを快適にこなせる性能は保持しており、最新鋭、パワフルとは言えないですが、多くの人にとって、ゲームしなければ「これで丁度良い」スペックと実際の操作感であり、一般的な用途で安価なミニPCを探しているユーザーには候補の1つになると思います。
本製品にはRAMが16GBのモデルも存在していますが、今回のテストでRAMはデュアルチャネルが必須であることがよく分かる結果となっており、資金に余裕があればRAMはデュアルチャネル構成のモデルがオススメで、SSDもPCIe3.0対応のものを追加し、OSをクリーンインストールすることをオススメします。
なお、熱問題や静音性に関してはRyzen 7 7730U搭載モデルと同じく特に気になるレベルではなく、ベンチマークなどの重たい作業をしなければ冷却ファンの音はほぼ聞こえない程で、熱対策に関しても高回転冷却ファンとデュアルエアフローによる高効率冷却システムを採用し、しっかりしている印象で、様々なベンチマークテストを行ってもCPU温度は最大85℃ほどまでしか上昇せず、サーマルスロットリングが発生するようなこともありませんでした。
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