【レビュー】値上がりが続くミニPC、まだ5万円台で買える「NiPoGi E3B」をチェック

ACEMAGICのサブブランドであるNiPoGiのミニPC「NiPoGi E3B」を提供頂いたので紹介します。
ACEMAGIC、NiPoGiともに中国の格安PCメーカーで、「NiPoGi E3B」は手の平サイズの筐体にAMD Ryzen 7 7730Uを搭載したミニPC。昨年よりRAMやSSDの高騰でミニPCの価格も上がっており、以前であれば5万円前後で購入出来たローエンド/ミッドレンジモデルでも7〜8万円近くするようになりつつありますが、本製品はセールであればまだ5万円台で購入可能です。
ただ、搭載されているAMD Ryzen 7 7730Uは数世代前のCPUであることから、RAMも最新規格のDDR5ではなくDDR4となっている他、搭載SSDもコストダウンの為かSATA SSDとなっており、性能面ではある程度の妥協が必要なモデルとなっています。
なお、「NiPoGi E3B」のラインナップは、16GB RAM + 512GB SSDモデルと32GB RAM + 512GB SSDモデルの2モデルが用意されていて、今回レビューするのは16GB RAM + 512GB SSDモデルとなります。
スペック
まず、「NiPoGi E3B」のスペックをまとめると下記の通り。
| CPU | AMD Ryzen 7 7730U 最大4.5GHz 8コア/16スレッド |
| GPU | AMD Radeon Graphics 8コア 2000MHz |
| RAM | DDR4 SO-DIMM 16GB (空きスロット/合計最大64GB) |
| ストレージ | M.2 2280 SATA SSD 512GB 空きスロット (PCIe3.0)×1 (各最大2TB) |
| インターフェイス (前面) | USB 3.2 Gen 2 (10Gbps)×2 USB-C×1 (4K@60Hz/PD出力対応) 3.5mmオーディオジャック×1 |
| インターフェイス (背面) | USB 3.2 Gen 1 (5Gbps)×4 RJ45イーサネットポート×1 DP1.4ポート×1 (4K@60Hz) HDMI 2.0×1 (4K@60Hz) |
| 無線 | Wi-Fi 6 / Bluetooth 5.2 |
| OS | Windows 11 Pro |
| 本体サイズ | 128×128×41.3mm |
搭載されているAMD Ryzen 7 7730Uは、Zen 3アーキテクチャを採用したノートPC向けCPUで、8コア16スレッド、最大ブーストクロック4.5GHz、7nmプロセス、TDP15Wという特徴を持ち、Web会議や動画視聴、一般的なビジネス作業、軽いクリエイティブ作業などを快適にこなせるバランスの取れたCPUとなっています。
AMD Ryzen 7 7730Uは2022年のAMD Ryzen 7 5825Uのリネーム品とされており、仕様が少し古いこともあり、上述した通り、対応するメモリの規格は最新のDDR5ではなくDDR4で、テストしたモデルにはDDR4-3200 16GBが1枚搭載されています。メモリのスロット自体は2つ用意されており、最大で64GBまで増設可能です。

ストレージはM.2 2280 SATA SSD 512GBが1枚搭載されており、SATA規格の為、速度はSATA 3.0の理論値である6Gbps(約600MB/s)に制限されます。実際のベンチマーク結果は後述しますが、本製品にはM.2スロットが2つ用意されており、1つはSATA、もう1つはPCIe3.0となっているので、より高速なM.2 SSDを増設することが可能です。
インターフェイスは前面にUSB 3.2 Gen 2 (10Gbps)を2つとUSB-C (PD出力対応)を1つと3.5mmオーディオジャックを備え、背面にはUSB 3.2 Gen 1 (5Gbps)を4つ、RJ45イーサネットポート、DP1.4ポート、HDMI 2.0を搭載しています。
無線関係はWi-Fi 6とBluetooth 5.2に対応し、本体サイズは実測で128×128×41㎜、重さは約559g。
OSはWindows 11 Proが搭載されており、ミニPCで良く問題になるOSのライセンスに関しては、Amazonのレビュー欄では本製品はボリュームライセンスだったとの声もちらほら報告されていましたが、レビュー用に使用したサンプルはリテール版のライセンスで問題ありませんでした。(リテール版もかなり珍しいですが…)

同梱品や外観デザイン
全体的なデザインはシンプルでこれといった特徴のあるデザインでない他、全面樹脂製であるものの、カラーリングが光沢のあるブラックで統一されていることや、天板部分に写真では分かり難いものの、細かな波状のテクスチャ加工が施されている為、価格の割には高級感のある造りとなっています。

本体サイズは128×128×41.3mmと標準的なミニPCのサイズで、重さは実測値で559g。

同梱品は左からACアダプタ、電源ケーブル、説明書類、HDMIケーブル、各種ネジ類とVESAマウント用のアダプタとなっています。

付属のACアダプタは65W出力で、大きさは113×51×33㎜で、重さは電源ケーブル込みで328g。


前面は左から、電源ボタン、3.5㎜オーディオジャック、USB 3.2 Gen 2 (10Gbps)×2、USB-C (PD出力対応)といった構成。前面にUSB-Cポートがあるのは有り難い。

左右側面は排気口のみ。本製品は天板と本体の隙間にある細い吸気口から空気を取り込み、その下に大型の冷却ファンが搭載されたヒートシンクがほぼ全面を覆う形で配置されており、そのヒートシンクに当たった暖かい空気が側面から排出される仕組み。


背面にはUSB 3.2 Gen 1 (5Gbps)を4つ、RJ45イーサネットポート、DP1.4ポート、HDMI 2.0が搭載されており、前面のUSB-Cポートと合わせて3画面への4K出力に対応しています。

底面は四隅に大きめのゴム足が取り付けられており、安定感はあり。中央部分の通気口のようなところは内部にミッドプレートがある為、あくまで飾りのようなもので、内部にアクセスするにはゴム足を外す必要があります。

底蓋を外すとミッドプレートが表れ、内部にアクセスするには底蓋とミッドプレートを外す必要あり。ネジは通常の+ネジなので、分解に特殊な工具は必要ありません。


マザーボードの設計はこんな感じ。メモリスロットは1つ空きがあり、M.2 2280スロットもPCIe3.0規格の空きスロットが1つあります。

搭載されているRAMはSKIHOTARと呼ばれる聞いたことがないメーカーのDDR4-3200 16GBで、M.2 2280 SSDもAirDiskと呼ばれるメーカーのSATA SSD 512GBとなっています。SATA 3.0規格のSSDであることから最近のミニPCに比べると読み書き速度が劣ることが予想出来ます。なお、AirDiskというメーカーは日本のAmazonにも出品しているようですが、RAM、SSDともに耐久性は不透明です。
これまでにエントリーモデルの格安ミニPCもいくつかレビューしてきましたが、両メーカーとも搭載を確認したのは初めてで、RAM・SSDが高騰していることが背景にあるのかもしれません。ただ、同社のミニPCは過去にレビューしたモデルもあまり聞いたことがないメーカーのRAMとSSDを搭載していたので、ただ単にそういう方針という可能性もあります。


ワイヤレスカードはSSDの下に搭載されており、MediaTekのMT7902が採用されています。MT7902は他のミニPCでも何度か確認されているチップで、Wi-Fi 6とBluetooth 5.2に対応しています。

各種ベンチマーク
実機で測定した各種ベンチマークソフトウェアの結果を紹介します。参考までに「Minisforum X1 Lite」のスコアも併記しています。「Minisforum X1 Lite」は現在販売されているミニPCの中では「NiPoGi E3B」より一つ上のクラスのモデルで、Ryzen 7 7730Uよりも1世代新しいZen 4アーキテクチャのAMD Ryzen 7 255を搭載しています。
| モデル名 | CPU | コア/スレッド数 | 最大クロック数 | GPU | RAM |
|---|---|---|---|---|---|
| NiPoGi E3B | Ryzen 7 7730U | 8コア 16スレッド | 最大4.5GHz | Radeon Graphics 8コア | DDR4-3200 16GB |
| Minisforum X1 Lite | Ryzen 7 255 | 8コア 16スレッド | 最大4.9GHz | Radeon 780M 12コア | DDR5-5600 32GB |
PC Mark 10
「PC Mark 10」はPCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを計測するベンチマークソフトで、日常的なPCでの作業やデジタルコンテンツを操作するときの性能に焦点を当てたテスト。
有料版の「PCMark 10 Advanced Edition」では、「Essentials」「Productivity」「Digital Content Creation」「Gaming」の4つのテストグループのベンチマークを測定でき、各テストのスコアと総合スコアで性能を表します。各テストグループの詳細は下記の通り。
- Essentials
- PCの基本性能を測るテストグループで、アプリの起動速度を測る「App Start-up」、Webブラウジングに関連する処理性能を測る「Web Browsing」、複数の参加者によるビデオ会議を想定し、処理に関連する性能を測る「Video Conferencing」という合計3つのワークロードを実行。
- Productivity
- Office Suiteのようなビジネスアプリの処理性能を測るテストグループで、ワープロソフトの性能を測る「Writing」と、表計算ソフトの性能を測る「Spreadsheets」という2つのワークロードを実行。
- Digital Content Creation
- コンテンツ制作作業を想定したテストグループで、写真編集に関する性能を計測する「Photo Editing」、動画編集の性能を計測する「Video Editing」、3Dグラフィックスの表示とレイトレーシングによるレンダリングの性能を調べる「Rendering and Visualization」という3つのワークロードを実行。
- Gaming
- ゲームの実行に関わる性能を測るテストグループで、Futuremark製の3Dグラフィックスベンチマークソフト「3DMark」をPCMark 10向けにカスタマイズしたものが入っており,「Fire Strike」プリセットを実行。
スコアの目安としては、簡単な作業を行うための一般的なPCの場合は「Essentials」のスコアが4,100点以上、一般的なオフィス作業や簡単なメディアコンテンツ制作を行うPCの場合は「Productivity」のスコアが4,500点以上、写真、動画、その他のデジタルコンテンツ編集を行うPCの場合は「Digital Content Creation」のスコアが3,450点以上が推奨されており、「NiPoGi E3B」は簡単な作業や事務作業等は問題ないものの、GPU性能が弱いので、写真や動画の編集、ゲーム性能が低い結果となりました。

CPU性能が1つ上の「Minisforum X1 Lite」に対し、「Productivity」のスコアは予想以上に健闘した結果に。ただ、内蔵GPUの性能差が大きく、「Digital Content Creation」や「Gaming」では大きな差が出た形となり、「NiPoGi E3B」は一般的な事務処理やWebブラウジング、動画鑑賞向けと割り切って使うユーザー向けのモデルであることが分かります。

Cinebench 2026
次は、Maxonが昨年末にリリースした最新のベンチマークソフト「Cinebench 2026」でベンチマークを測定してみました。
「Cinebench」は老舗の3Dグラフィックスソフト「Cinema 4D」のデフォルトレンダリングエンジンである「Redshift」を用いた実際の3Dワークロードにより近い性能測定が可能なベンチマークソフトで、最新版の「Cinebench 2026」では最新のCPU/GPUへの対応の他、1つの物理CPUコアで複数の実行スレッドを実行する技術「SMT」(Simultaneous Multithreading)の性能テストに対応しているのが特徴で、SMTが有効な場合とシングルスレッドのときの性能差を直接比較可能です。
結果は下記の通りで、CPU性能の差がそのまま反映された形。特にマルチスレッド時の性能に大きな差があることが分かります。

3D Mark
「3DMark」はハイエンドPCからタブレットPCまで利用できる定番3Dベンチマークソフト。DirectX 12を利用したベンチマークなどが用意されており、各テストの測定内容とスコアは下記の通り。
3D Markのテスト内容
| テスト名 | テスト内容 |
|---|---|
| Time Spy | ゲーミングPC向けのDirectX 12ベンチマーク |
| Night Raid | 「Time Spy」よりも軽量化されたテスト、CPU統合グラフィックスを備えた軽量デバイス向けのDirectX 12ベンチマーク |
| Fire Strike | ゲーミングPC向けのDirectX 11ベンチマーク |
| Steel Nomad | 「Time Spy」に代わるベンチマークで、非レイトレーシングゲームの性能を測定するための推奨ベンチマーク |
| Steel Nomad Light | CPU統合グラフィックスを備えた軽量デバイスの性能を測定するための推奨ベンチマーク |
NiPoGi E3Bのスコア
| スコア | |
|---|---|
| Time Spy | 936 |
| Night Raid | 9500 |
| Fire Strike | 2306 |
| Steel Nomad | 137 |
| Steel Nomad Light | 807 |
「PC Mark 10」のテストでも明らかになっていた通り、GPU性能は高くないので、「Minisforum X1 Lite」より2ランクくらい下になります。「NiPoGi E3B」はメモリが16GB×1枚のシングルチャンネル作動となっている為、もう1枚16GBを追加し、32GBのデュアルチャンネル作動にすればiGPUも含めもう少しパフォーマンスを向上させることが出来るものと予想されます。

CrystalDiskMark 9
「CrystalDiskMark」はストレージのデータ転送速度を測定できる定番ベンチマークソフトで、キューやスレッドの数を指定したシーケンシャルリード&ライト、ランダムリード&ライトの計測が可能。
搭載されている512GB SSDはSATA 3.0接続なので、転送速度の理論値(約600MB/s)通りといった結果に。NVMe SSDに比べると大きく見劣りする数値となっていますが、Windowsのファイルエクスプローラーや設定アプリといった各種動作は詰まることもなく快適で、Officeのような事務作業も特にストレスを感じるような場面はありませんでした。ファイルサイズの大きいファイルなどを扱わない限りはあまり気にしなくても良いのかもしれませんが、もし気になる場合はNVMe SSDに換装されることをオススメします。

また、本機はM.2 2280スロットがもう1つ用意されており、そちらはSTATではなくPCIe3.0規格となっているので、余っていたPCIe3.0×4規格のM.2 2280 SSDを使ってベンチマークテストをしてみました。その結果が下記の通りで、読み込み速度は規格通りの速度が出ましたが、書き込みはなぜかSATAレベルとなりました。もし予算に余裕があったり、SSDが余っているのであればPCIe3.0規格に対応したM.2 2280スロットにSSDを増設し、そちらにOSも移行した方が快適かと思います。

まとめ
搭載CPUの世代の古さは否めないものの、Web会議や動画視聴、一般的なビジネス作業、軽いクリエイティブ作業などを快適にこなせる性能は保持しており、最新鋭、パワフルとは言えないですが、一般的な用途で安価なミニPCを探しているユーザーには候補の1つになると思います。
また、昨年後半よりRAMとSSDの高騰の影響でミニPCも続々と値上げされており、1〜2年前であれば5万円前後で購入出来たモデルが軒並み7〜10万に値上がりしている中、本機は5万円台で購入可能なのも魅力の1つ。(1年前であれば本機も3〜4万円で買えたはず)
出来ればRAMを16GB×2のデュアルチャンネル作動とし、SSDもPCIe3.0対応のものにアップグレードすることをオススメしますが、今のRAMおよびSSDの増設コストを考えれば1つ上のランクのミニPCを購入出来てしまうので、悩ましいところ。
なお、熱問題や静音性に関しては特に気になるレベルではなく、ベンチマークなどの重たい作業をしなければ冷却ファンの音はほぼ聞こえない程で、熱対策に関しても様々なベンチマークテストを行ってもCPU温度は最大85℃ほどまでしか上昇せず、サーマルスロットリングが発生するようなこともありませんでした。
本記事公開時点での価格は、16GB RAM + 512GB SSDモデルが56,880円(税込)、32GB RAM + 512GB SSDモデルが76,998円となっています。

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