【レビュー】組み込み向けRyzenを搭載した格安ミニPC「NiPoGi P1」をチェック ー 1年前の同価格帯モデルより高性能

ACEMAGICのサブブランドであるNiPoGiのミニPC「NiPoGi P1」を提供頂いたので紹介します。
「NiPoGi P1」は、CPUに組み込み向けCPUであるAMD Ryzen Embedded R2544を搭載し、価格を5万円以下に抑えたエントリーモデルのミニPC。
昨今のメモリやSSDの高騰によりミニPCの価格も総じて値上がりしており、昨年だと同価格帯でももう少し上のCPUが搭載されていましたが、価格を抑える為にミニPCメーカーも苦慮している状況で、「P1」は組み込み向けCPUを採用するといった形で価格を抑えたモデルとなっています。
詳細は以下から。
スペック
まず、「NiPoGi P1」のスペックをまとめると下記の通り。
| CPU | AMD Ryzen Embedded R2544 最大3.7GHz 4コア/8スレッド |
| GPU | AMD Radeon Graphics 5コア 1,400MHz |
| RAM | DDR4 SO-DIMM 8GB (スロットx2/合計最大32GB) |
| ストレージ | M.2 2280 SATA SSD 256GB 空きスロット (PCIe3.0)×1 (各最大2TB) |
| インターフェイス (前面) | USB 3.2 Gen 1 (5Gbps)×2 USB-C×1 (4K@60Hz/PD出力対応) 3.5mmオーディオジャック×1 |
| インターフェイス (背面) | USB 3.2 Gen 1 (5Gbps)×4 RJ45イーサネットポート (1Gbps)×1 DP1.4ポート×1 (4K@60Hz) HDMI 2.0×1 (4K@60Hz) |
| 無線 | Wi-Fi 5 / Bluetooth 5.2 |
| OS | Windows 11 Pro |
| 本体サイズ | 128×128×51mm |
搭載されているAMD Ryzen Embedded R2544は組み込み向けCPUで、省電力性と長期間の安定稼働が特徴。Zen+世代の4コア/8スレッド、最大3.7GHzで駆動し、GPUとしてRadeon Graphicsを内蔵しています。

メモリは8GBのDDR4-2666(PC4-21300)SDRAMを1枚搭載し、最大32GB(16GB×2)まで増設可能。ストレージは256GB SSDを搭載し、最大4TB(2TB×2)まで増設可能です。
インターフェースは、前面にUSB 3.2 Gen 1 (5Gbps) が2つ、画面出力・高速データ転送・USB PD出力に対応したフル機能のUSB-Cが1つ、3.5mmオーディオジャックが搭載されています。背面には、USB 3.2 Gen 1 (5Gbps) が4つ、RJ45イーサネットポート、DP1.4ポート、HDMI 2.0をそれぞれ1つずつ搭載しています。
なお、OSは「Windows 11 Pro」をインストールしており、ミニPCで良く問題になるOSのライセンスに関してはOEM版であることを確認済みです。

同梱品や外観デザイン
全面樹脂製であるものの、カラーリングが光沢のあるブラックで統一されており、落ち着いた雰囲気があります。天板と本体の間にはワンポイント的なデザインとして通気孔を兼ねたゴールドカラーの装飾があしらわれているのが特徴。


本体サイズは128×128×51mmとミニPCのサイズとしては標準的で、男性であれば片手で持てるサイズ。重さは実測値で484g。

同梱品は左から説明書類、ACアダプタ、HDMIケーブル、電源ケーブル、各種ネジ類とVESAマウント用のアダプタとなっています。

付属のACアダプタは同社の他のモデルにも良く付属している65W出力のもので、大きさは113×51×33㎜で、重さは電源ケーブル込みで328g。


前面は左から、電源ボタン、3.5㎜オーディオジャック、USB 3.2 Gen 1 (5Gbps)×2、USB-C×1 (4K@60Hz/PD出力対応) といった構成。USB-Cも大分普及してきたので、すぐにアクセス出来る前面にフル機能のUSB-Cポートがあるのは有り難い。

左右側面は排気口のみ。本製品は天板と本体の隙間にある細い吸気口から空気を取り込み、その下に大型の冷却ファンが搭載されたヒートシンクがほぼ全面を覆う形で配置されており、そのヒートシンクに当たった暖かい空気が側面から排出される仕組み。


背面にはUSB 3.2 Gen 1 (5Gbps) が4つ、ギガビットLANポート、DP1.4ポート、HDMI 2.0が搭載されており、前面のUSB-Cポートと合わせて3画面への4K出力に対応しています。

これまでにレビューした同社のミニPCは底面デザインは後回しといった感じで、無意味な通気口の穴が空けられていたりと無骨な感じの見た目のものが多かったのですが、本製品はかなりスッキリした外観デザインとなっています。

内部にアクセスするには両面テープで取り付けられているゴム足を外す必要があり、ゴム足さえ外せれば後は通常のプラスドライバーのみで開封可能。

搭載されているRAMはVASEKYと呼ばれる筆者は聞いたことがない中国の低価格帯メモリブランドのDDR4-2666(PC4-21300)8GBが1枚装着されており、空きスロットが1つあり、各スロット最大16GBで計最大32GBまで拡張可能。メモリの高騰もあって、低価格のミニPCは8GB RAM、しかもDDR4規格の搭載が増えてきている印象です。DDR4-2666であれば中古で数千円で入手可能なので、動作に不満がある方は8GB増設し、デュアルチャネル仕様にするのも良いかもしれません。

SSDもKEYWAYというこれまたあまり聞いたことがないメーカーのものが採用されています。しかも、SATA 3.0規格の256GB SSD。ここにもメモリ・SSDの高騰の影響が出ている状態。初回セットアップ終了後の空き容量は238GBで、M.2スロット自体はPCIe3.0規格に対応している為、容量や読み書き速度に不満がある場合は、PCIe3.0対応のSSDに換装することをオススメします。

無線モジュールは、Realtek社の「RTL8821CE-VC-CG」チップセットを搭載した、Wi-Fi 5(802.11ac)およびBluetooth 4.2対応の無線LANコンボモジュールとなっており、Wi-Fi5とBluetooth 4.2は今の時代からするとちょっと物足りないですが、コストを考慮すると致し方ないのかもしれません。LANポートも最大1Gbps(1000Mbps)となっており、コストパフォーマンスを重視した設計となっています。

各種ベンチマーク
「NiPoGi P1」のパフォーマンスがどの程度なのか測定してみました。搭載CPUが非力で、本製品の立ち位置的にベンチマークで性能を比較するようなモデルではないものの、参考までに測定してみましたが、PCの総合的な性能を測定出来る「PCMark10」や「Cinebench 2026」等、ドライバなどをインストールし直してもなぜか途中でクラッシュして測定出来なかったベンチマークソフトも多く、実際に測定出来たのは「Cinebench R23」と「3DMark」。
まず、「CINEBENCH R23」はCGレンダリング速度からCPU性能を測定するベンチマークで、CGレンダリングはマルチスレッド処理向きの作業であることからコア/スレッド数が多ければ多いほど性能が高くなる他、動作周波数に比例して性能が上がる傾向もあり、CPUの最大性能を比較するのに最適なベンチマーク。
結果は下記の通りで、昨年に本機と似たような価格帯の2〜4万円台で販売されていたIntel N100やIntel N150を搭載した格安ミニPCと比較してみました。Intel N150は4コア/4スレッドで3.6GHzで動作し、TDPが10Wと消費電力が低いのが特徴の低消費電力ノートPCやミニPC向けCPUで、「NiPoGi P1」のAMD Ryzen Embedded R2544は4コア/8スレッドで、動作周波数は3.4-3.7GHzとなっており、スレッド数の差がマルチコア性能のスコア差に表れた形。

次に、「3DMark」はハイエンドPCからタブレットPCまで利用できる定番3Dベンチマークソフト。DirectX 12やレイトレーシングに関するベンチマークなどが用意されています。
AMD Ryzen Embedded R2544の内蔵GPUの性能は約1,331GFLOPS、Intel N150は512GFLOPSとされているので、理論性能では約2.6倍の差があり、スコアにもその結果が現れた形。超格安ミニPCに比べるとGPU性能はあるといった感じで、軽い画像編集をこなしたり、「ドラゴンクエストX」のような軽量ゲームであればHD画質でプレイ可能です。

最後に、「CrystalDiskMark 9」を用いて、搭載ストレージのデータ転送速度を測定してみました。
搭載されている256GB SSDはSATA 3.0接続で、読み込み速度は転送速度の理論値(約600MB/s)通りといった感じでしたが、書き込み速度が少し遅いです。複数回テストを行いましたが、読み込み速度は安定しているものの、書き込み速度は100MB/sまで落ち込むこともあり、少し安定性に欠ける印象。HDDよりは速いものの、NVMe規格のSSDに慣れてしまっている場合は遅いと感じるかもしれません。実際、アプリの起動やフォルダを開く際にも少し待たされる感じです。
SATA3.0規格のSSD搭載による動作のもたつきに不満がある場合は、M.2スロットが対応しているPCIe3.0規格のSSDに置き換えることで劇的に改善出来ると思うので、購入後に予算に余裕が出た際にメモリのデュアルチャネル化やSSDの換装を考えるといった形も良いかもしれません。

まとめ

ここまで「NiPoGi P1」を紹介してきましたが、「NiPoGi P1」は組み込み向けCPUの採用など、部品コスト高騰でミニPCの価格も値上がりする中、5万円以下に抑える為に対応策を詰め込んだモデルといった印象。
性能面は事務作業や動画視聴、軽い画像編集等が限界ですが、ベンチマーク結果では昨年に発売されていた同価格帯の格安ミニPCを上回る結果だったので、普段使いで少しでも価格を抑えたいのであれば十分なモデルかと思います。
また、CPUが省電力性に優れていることもあり、発熱も抑えられていて、サーマルスロットリング(発熱で性能を抑制する機能)が発生するようなことは一度もなく、ベンチマークテスト中も含めて動作音もかなり静かでした。
なお、本機の価格については、現在、Amazonではセールが開催中で38,568円(税込)で購入可能です。


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