【レビュー】Insta360のスマホジンバルのエントリーモデル「Insta360 Flow 2」|初心者やライトユーザーには正直これで十分!!

Insta360が先日に発売したスマートフォンジンバルの新モデル「Insta360 Flow 2」を提供頂いたので紹介します。
「Flow 2」は同社が今年1月に発売した「Flow 2 Pro」のエントリーモデルといった位置付けで、基本的な設計は両モデルとも同じですが、「Flow 2 Pro」に搭載されている緑色のトラッキング・インジケーター・リング、自撮りミラー、透明モーターなどの代表的な機能を省略してコストダウンを図ることにより、価格を下げてライトユーザーが買いやすくした形。
また、「Flow 2」はApple DockKitをサポートしておらず、システムレベルのネイティブトラッキングが利用出来ません。さらに、パン軸には回転制限が設けられており、360度無限パントラッキングやワンタップ360度パンショットが利用出来ない他、パン軸はチルト軸に曲げることができないため、フリーチルトモードも利用不可です。
一部機能が省かれたからといって3軸手ブレ補正によるプロレベルの手ブレ補正力は変わらず、スマホで手ブレの少ない滑らかな動画撮影などが可能です。
まずは「Flow 2」の製品仕様と「Flow 2 Pro」との違いは下記の通り。
Flow 2とFlow 2 Proの主な仕様
Flow 2 | Flow 2 Pro | |
---|---|---|
重量 | ジンバル本体:約348g マグネット式スマホクランプ:約25g | ジンバル本体:約357g マグネット式スマホクランプ:約25g |
寸法 | 折りたたみ時:97.9×178.4×36.7mm 展開時:121.1×282.1x54mm | 折りたたみ時:97.9×178.4×36.7mm 展開時:121.1×282.1x54mm |
対応スマートフォンの厚さ | 6.9-10mm | 6.9-10mm |
対応スマートフォンの幅 | 64-84mm | 64-84mm |
対応スマートフォンの重量 | 130-300g | 130-300g |
ポート | USB-C | USB-C |
内蔵自撮り棒の長さ | 207mm | 210mm |
内蔵三脚のサイズ | 展開時の長さ:94mm 展開時の直径:204mm | 展開時の長さ:94mm 展開時の直径:204mm |
バッテリー容量 | 1100mAh | 1100mAh |
駆動時間 | 最大10時間 | 最大10時間 |
充電時間 | 約2時間 | 約2時間 |
ジンバル可動範囲 | パン: -210°〜120° ロール: -207°〜123° ティルト: -99°〜231° | パン:360度連続回転 ロール:-390°〜135° チルト:-99°〜231° |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.0 |
NFC | ○ | ○ |
Flow 2とFlow 2 Proの違い
Flow 2 | Flow 2 Pro | |
---|---|---|
スマートホイール | × | ○ |
スケルトンデザイン | × | ○ |
自撮りミラー | × | ○ |
トラッキングリングライト | × | ○ |
360度無限パントラッキング | × パン:-210度〜120度 | ○ |
フリーティルトモード | × | ○ |
360度パンショット | × パン軸回転範囲:270〜300度 | ○ パン軸回転範囲:360度無限 |
Apple DockKit対応 | × | ○ |
NFCワンタップペアリング | iPhone・Android共にタップして Insta360アプリに接続 | iPhone:タップしてApple DockKitに接続 Android:タップしてInsta360アプリに接続 |
外観デザイン等
今回レビューしたのは「Flow 2」の”ストーングレイ”モデルで、同梱物は左から時計回りに、本体、磁気スマートフォンクランプ、各種冊子類、保護ポーチ、USB-C – USB-A充電ケーブル、AIトラッカーといった内容。レビュー用サンプルは「AIトラッカーキット」なので、通常版にはないAIトラッカーが同梱されています。

折りたたんだ状態の大きさは97.9×178.4×36.7mmで、「iPhone 16 Pro」より一回り大きいくらい。筆者はズボンのポケットに入れることも多く、レビューで持ち出していた時も左ポケットに「Flow 2」、右ポケットに「iPhone 16 Pro」といった感じでした。

内蔵自撮り棒まで完全に展開した状態が下記画像で、本体重量は約348gで「Flow 2 Pro」の約357gよりは僅かに軽くなっています。磁気スマートフォンクランプが約25gで、スマホはモデルによるものの「iPhone 16 Pro」の場合は199gなので、合計で約572gとなり、男性でも持ち方によっては長時間片手で持っていると疲れてくるほどで、女性からは結構重たいとの感想をよく聞きます。重たい場合は内蔵自撮り棒を延ばさない方が安定性が良くなるので極力延ばさないで使用することをオススメします。

操作部分は基本的な設計は「Flow 2 Pro」と同じで、撮影ボタンやCボタンなどの各種ボタンの中央にジョイスティックが搭載され、その周りにズームホイールがある形。外面にはトリガーボタンが用意されており、スマホのカメラを素早く正面に戻したりすることが可能です。


本体コントロール部分の横とロール軸モーター部分にUSB-Cポートが2つ搭載されており、本体のは充電に利用し(モバイルバッテリーとしてスマホなどを充電するのにも利用可能)、ロール軸モーターのは「AIトラッカー」や「スポットライト」といったアクセサリを取り付ける為のものとなっています。


パン軸モーター部分にNFCタグが搭載されており、NFCペアリングの際に利用します。「Flow 2 Pro」の場合はiPhoneをNFCタグに当てるとDockKitペアリングが行えるようになっていますが、「Flow 2」ではこの機能が省かれており、iPhone・Android搭載スマホともにNFCタグをタップすると「Insta360」アプリが自動的に起動するようになっています。また、引き続き、三脚が内蔵されており、立てて利用することが可能です。見た目は細いですが、安定感は結構あります。


レビューしたサンプルは「AIトラッカーキット」で通常では別売りのアクセサリ「AIトラッカー」が同梱されており、「AIトラッカー」は下記写真のようにロール軸モーター部分のUSB-Cポートに挿して爪で引っ掛けて取り付ける仕組み。前後どちら向きでも取り付けることが可能なので、自撮り時にも利用可能です。
「AIトラッカー」はより正確なトラッキングを実現してくれるもので、取り付けることでジェスチャー操作の正確性も向上し、手を挙げるだけでAIトラッキングの開始や停止が可能に。さらに、3段階の明るさレベルと3つの色温度設定を備えた内蔵スポットライトも搭載しています。


また、バッテリー駆動時間は最大10時間。基本的にスマホ側の充電が先になくなることが大半で、「Flow 2」自体のバッテリーが切れることは余程のことがない限りはないと思います。スマホ側のバッテリーが切れた際は「Flow 2」がモバイルバッテリーにもなるので、いざという時に安心です。
Flow 2 Proとの違い
まず、折りたたんだ状態のサイズは両モデルとも全く同じで、横から見たデザインは一見では違いが分からないレベル。


パン軸回転範囲が「Flow 2」は270〜300度までなのに対し、「Flow 2 Pro」は360度無限と一部ヒンジ内の構造は異なっているものの、完全に展開した際の形状も基本的には同じです。ただ、内蔵自撮り棒の長さは「Flow 2」が207mmなのに対し、「Flow 2 Pro」は210mmと僅かながら「Flow 2」の方が短くなっています。

コントローラー部分は外観デザインは基本的に同じですが、「Flow 2」ではタッチパネルが省かれており、「Flow 2 Pro」では各ボタンの表面(黒いリング部分)を指でなぞると撮影モード(写真や動画など)をスムーズに切り替えることが出来ましたが、「Flow 2」では撮影モードの切り替えが少し手間で、操作面では結構大きい違いです。

グリップ背面のデザインや設計に特に変更はありません。

デザインの大きな違いは、まず磁気スマートフォンクランプを取り付ける箇所の背面に「Flow 2 Pro」は自撮り用のミラーが内蔵されており、そこからスケルトンデザインの装飾があしらわれていたのですが、「Flow 2」ではそれらが省かれ、本体と同系色の樹脂で統一されています。また、写真では少し分かり難いですが、「Flow 2 Pro」ではパン軸モーターの部分に緑色のトラッキング・インジケーター・リングが搭載されていましたが、「Flow 2」では非搭載です。

「Flow 2 Pro」では「フリーティルトモード」にすると下記画像のようにクレーンショットやティルトショットなどで撮影でき、映画の1シーンのような動画が撮れますが、「Flow 2」ではこのモードが利用出来ません。


機能面の紹介
本製品には同社史上最高レベルのAIトラッキング技術「ディープトラック4.0」が搭載されており、被写体が一時的に障害物に隠れても認識を維持したり、複数人同時のトラッキングにも対応しているのが特徴です。
実際、先日に大阪・関西万博に行った際に中国の広東省のイベントが行われていたので、トラッキング機能を使ってみました。
トラッキングは撮影の開始前や開始後に、画面をタップ&スワイプ操作すると四角い枠が表示されるので、その枠で追跡したい人物や動物を囲むだけ。一度囲んでしまうと×ボタンを押すか、被写体を完全にロストするまで追跡し続けてくれます。

下記動画は実際に赤と緑の衣装を着たダンサーをトラッキングさせた映像で、顔の振りや上下の動きが激しいショーだったので、かなり映像も上下に揺れる上、後半では一時的に他の人に隠れたりしますが、最後まで追跡し続けてくれていることが分かります。(※AIトラッカー装着)
「ディープトラック4.0」ではこのトラッキングを設定した後に「プロ・フレーミング・グリッド」や「アクティブズームトラッキング」といった機能も利用可能です。
複数人トラッキング
「Flow 2 Pro」と同じく、多人数トラッキングにも対応しており、すべての人を1つのグループとして扱い、画面の中央に配置することが出来る機能で、ダンスやパーティーなどのグループ撮影にも最適となっています。
多人数トラッキングを利用する際は撮影時に画面をタップして表示される枠をスワイプ操作し、トラッキングしたい人物等を囲むことで自動でトラッキングしてくれます。

プロ・フレーミング・グリッド
Insta360独自の黄金比を活用した9種類の構図アングルを自動提案し、被写体をタップするだけで、最適な構図に自動調整してくれます。
実際には画面に9箇所のコンボジションポイントが表示され、それをタップすることで追跡中の被写体をそのポイントの位置に固定出来る機能で、被写体を追跡しながら、美しい構図を維持することが可能です。
アクティブズームトラッキング
iPhone 15 Pro MaxやiPhone 16 Pro/16 Pro Maxには5倍望遠レンズが搭載されており、最大15倍のズームが可能ですが、アクティブズームトラッキングでは最大15倍ズーム時でも被写体を正確かつ連続的に追跡可能です。
スポーツや運動会などの撮影時に便利な機能で、最高の追跡を体験するには三脚を使っての撮影が推奨されており、同機能が利用可能な画質は1080p/60fpsまでで、4K画質では利用出来ません。
テレプロンプター
スマートフォンの画面に事前にスクリプトやキーポイントを入力することで、撮影中にその入力したコンテンツがスクロール表示される機能で、ライブ配信時など、喋りながら自撮りする際などに原稿など画面に表示することが出来ます。

スマートフォンやApple Watchでの遠隔操作

別のもう1台のスマホを使い、ジンバルに取り付けられたもう一方のスマホの遠隔操作にも対応しており、AndroidユーザーにとってはApple Watchの代替となります。
遠隔プレビュー/録画の開始と停止/写真の撮影/ヘッドの回転を制御して構図を調整したり、トラッキング対象を選択したり切り替えたりするなどの機能を操作でき、Wi-Fiを介して接続する為、iPhoneとAndroid搭載スマホでも接続可能。
また、Apple Watchから直接ジンバルを遠隔操作することも可能で、アングルの調整や追跡対象の切り替え、リモート操作などが可能です。

まとめ
多数の機能や撮影方法が用意されているので、流石に紹介しきれないのですが、下記動画のような動きのあるタイムラプス映像「モーションタイムラプス」も撮影可能です。
「Flow 2」は「Flow 2 Pro」から一部機能が省かれたとはいえ、初めて使うユーザーや動画撮影に慣れていないユーザーにとっては十分過ぎるくらいの機能が備えられています。正直、スマホジンバルはアクションカメラよりも様々な操作が可能なことから撮影する側のテクニックが求められる製品となっており、Vlogやライブ配信ではそこまでの知識は必要ないものの、格好いい動画やセンスのある動画を撮影するには機能や操作性を熟知する必要があります。
動画撮影の知識があったり、慣れているユーザーは上位モデルの「Flow 2 Pro」の方がより凝った動画が撮影出来ることに間違いはないものの、これからスマホジンバルを使ってみようというユーザーにはまず「Flow 2」をオススメします。
なお、「Flow 2」の価格は通常版が14,900円(税込)で、AIトラッカーキットが15,950円(税込)となっています。AIトラッカーキットは通常モデルより1,050円高いですが、違いは「AIトラッカー」の有無のみで、「AIトラッカー」は別売りだと7,100円もするので、それが1,050円で買えると考えればAIトラッカーキットの方が断然おトクです。
ちなみに、上位モデルの「Flow 2 Pro」は21,900円(税込)となります。

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