【レビュー】性能・静音性共にストレス無しのオールフラッシュNAS『Minisforum S5』をチェック

Minisforumが新たに発売したオールフラッシュNASこと「Minisforum S5」を紹介します。
「Minisforum S5」は5基のM.2 NVMe SSDスロットを備えたオールフラッシュNASで、SSDは最大40TBまで拡張可能。M.2 NVMe SSD専用となったことで、ファンレスになり、本体サイズも従来のHDDや2.5インチSSDを使ったNASよりも大幅に小型化されているのが特徴。
また、シーケンシャル読み取り速度はHDDと比較して最大6倍高速化され、高速なランダム読み取り速度は同最大100倍に向上するとされています。
プロセッサにはWildcat Lake世代で5コア/5スレッド、最大4.3GHzで動作するIntel Core 3 304を搭載し、LANポートは10GbEと2.5GbEのデュアルLAN、さらにNASとしては珍しいWi-Fi 7まで搭載しています。
Minisforum S5の主な仕様
| 本体サイズ | 176.5 x 154 x 60 mm |
| 重さ | 1.8kg |
| CPU | Intel Core 3 processor 304 |
| GPU | Intel Graphics |
| RAM | LPDDR5✕ 12GB |
| ストレージ | M.2 2280 NVMe SSD スロット×5 (各最大8TB / PCle 4.0 x1) |
| ポート (後部) | USB 3.2 Gen 2 Type-A×2 HDMI 2.1 (4K@60Hz)×1 RJ45 (2.5GbE, RTL8156)×1 RJ45 (10GbE, RTL8127)×1 USB4 (40Gbps, DisplayPort Alt Mode)×1 USB4 (40Gbps, DisplayPort Alt Mode; PD IN)×1 |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 |
| Bluetooth | Bluetooth |
| OS | MinisCloud OS / Windows 11 Pro / Linux |
外観デザインについては、ボディはアルミニウム製で高級感あり。熱対策の為、左右側面はヒートシンクを兼ねた形状となっており、少し見えにくいですが、前面上部には稼働時にぼんやりと光るインジケーターランプが内蔵されています。

本体サイズは176.5 x 154 x 60 mmと、ミニPCを一回り大きくしたレベルで、NASの導入ではその大きさから設置場所が悩みになることも多いですが、このサイズであれば既存のルーターやWi-Fiアクセスポイントの周囲にある空きスペースにも余裕で設置でき、机の上に置いても邪魔にならないサイズ。重さはSSDを取り付けていない状態で約1.8kgと、見た目以上にズッシリ感がありますが、同じベイ数のオールHDDのNASに比べると半分以下の軽さで、取り回しもし易いです(HDD NASは設置後に動かすのが大変)。なお、本体表面が高温になることを示す注意シールが貼られています。

付属品は左上から、説明書類、SSD固定用のネジ、HDMIケーブル、ACアダプタ、LANケーブル、電源コードといった内容。

背面には各種ポートが搭載されており、SSDステータスインジケーター、USB4×2、USB-A(USB3.2 Gen2 / 最大10Gbps)×2、HDMIに加え、10GBASE-T(10GbE)と2.5GBASE-T(2.5GbE)のLANポートを搭載。USB4ポートのうちの1つはUSB PD 65Wの電源入力にも対応しており、付属のACアダプタだけでなく、65W出力以上のUSB-C充電器でも運用が可能。

付属のACアダプタは同社のミニPCにもよく付属している120W出力のものとなっています。

本体側面のヒートシンクはの片側はネジを取り外すことで簡単に開封できるようになっており、購入後、まず初めに開封し、SSDを取り付ける必要があります。
M.2 NVMe SSDスロットは5つ用意されており、すべてのM.2スロットともインターフェース速度はPCIe 4.0 x1となっています。PCIe 4.0 x1の理論上の最大転送速度(帯域幅)は約2,000MB/s(約2GB/s)程度で、本機に搭載されている10GbEの最大データ転送速度は約1.25GB/sなので、PCIe 4.0 x1で十分といった判断と思われます。

今回はそこまで分解していませんが、基板の裏面にはCPUやRAMが搭載されており、反対側のヒートシンクでこれらの熱を逃がす設計。冷却ファンは非搭載のファンレス設計で、無音で動作するので、静粛性が求められる場所にも設置しやすくなっています。
実際にSSDを装着した図が下記画像。昨今のSSDの高騰により、PCIe 4.0規格のM.2 NVMe SSD 1TBを5枚集めるだけでも10万円以上する為、オールフラッシュNASにとってはコスト的に厳しい時代となっています。また、各スロットとも最大8TBまで対応しているので、最大で32TBまで搭載可能ですが、SSDだけで100万円を超えてしまうのが現状。実際には耐久性の高いNAS用のSSDを装着して試したいところでしたが、こちらもコスト面で断念。

SSDの装着が完了した後のセットアップは過去にレビューしたHDD NAS「N5 Pro」と同じで、独自OSの「MinisCloud OS」がプリインストールされているので、初回セットアップはパソコンおよびスマホともに公式アプリ「MinisCloud」を利用する形。WindowsとLinuxもインストール可能ですが、今回は「MinisCloud OS」で紹介したいと思います。

「N5 Pro」をレビューした時点からは公式アプリがアップデート(記事投稿時点の最新版はver 2.1.38)されており、Windows版とAndroid版は「MinisCloud」のままですが、iOSおよびmacOS版は「MinisCloud」から「MinisOS」に名称が変更されています。ただ、公式アプリは「N5 Pro」をレビュー時から変わらず、Windows版とAndroid版は正式版がリリースされていて、サポートページよりダウンロード可能であるものの、iOS版とmacOS版はまだベータ版といった扱いで、TestFlight経由でインストールする必要があります。
Android版もapkファイルをインストールしないといけない為、詳しくないユーザーにはちょっと分かり難い状況は「N5 Pro」をレビューした頃から変わっていないのが残念でした。少しでも早く各アプリストアでの配信開始やもう少し分かり易い箇所での配布を期待したいところ。
今回は最初のセットアップは全てMacで行いましたが、手順はどのOSで行っても同じで、「S5」が同一ネットワーク内にあればスキャンすることで自動で表示されるので、画面の指示に従って管理者のアカウント作成などを行い、その後、システム(ストレージ)プールの作成を行うことで完了となります。

「S5」は5つのSSDを搭載可能なので「RAID 0/1」に加え、1台のHDDが故障してもデータが復元できる「RAID 5」や、HDDの実容量が半分に減るものの同時に2台のHDDが壊れてもデータを復元できて安全性の高い「RAID 6」にも対応しているのが特徴。さらにHDDの実容量が半分に減るものの、読み込み・書き込み速度が高速で、かつ耐障害性にも優れた「RAID10」も利用可能。今回は「RAID 5」でセッティングしてみましたが、RAIDの初期の同期処理もHDDより速いので助かります。

初回セットアップが完了すると、「MinisCloud OS」のデスクトップ画面が表示されます。ここまでくれば普通のPCのような形で利用可能で、様々なアプリが用意されています。

用意されているアプリや機能は基本的に「N5 Pro」のレビューの時から大きく変わっていないので、そちらを参照して下さい。HDDのNASと同じく、様々なファイルのバックアップやメディアサーバー、スマホの写真バックアップ、

今回はオールフラッシュNASなので、その速度を少しでも最大限活かす為に、筆者の事務所のネット環境も10GbEに対応するべく見直しを実施し、Wi-Fiルーターは元々Wi-Fi7および10GbE対応のものだったので、追加で10GbE対応のスイッチングハブに加え、PC側も10GbEに対応させるためにUSB4/Thunderbolt 4対応の10GbE LANアダプタを購入してみました。

まず始めに、ネット環境を10GbEで再構築する前に、1GbE環境で測定した結果が下記の通り。計測にはmacOS用のベンチマークソフト「AmorphousDiskMark」を使用。読み出し速度は1GbEの理論値である最大1Gbps(約125MB/s)に近い数字となっていますが、これがどこまで速くなるのかが気になるところ。書き込み速度が遅いのはRAID5なのでパリティ(誤り訂正符号)の計算と書き込み処理(パリティ・オーバーヘッド)を行う必要がある為と考えられます。

「S5」の結果を前に、4つのHDDをRAID5で組んだオールHDDの他社製NASを10GbE環境にした場合の速度をWindows用のベンチマークソフト「CrystalDiskMark v9」で測定してみましたが、最大読み出し速度は643MB/sで、最大書き込み速度は348MB/sといった結果でした。HDDは約200MB/s前後とされており、それ以上の数字が出ているのはRAID5で複数台から並列に読み出すことで速度が向上している為で、こちらもRAID5の仕組み上、書き込み速度の方が遅くなっています。

そして、「S5」の10GbE環境での測定結果が下記の通り。最大読み出し速度が1184.68MB/s、最大書き込み速度が1184.29MB/sとなり、10GbEの最大データ転送速度の上限(約1.25GB/s)に近い数値が出ており、上記のオールHDD構成と比べて読み出し速度で約2倍、書き込み速度は3倍以上となりました。
実際、1GbEの環境では再生途中で止まってしまうことも多々あった4K動画の再生も、「S5」と10GbE環境の組み合わせであればスイスイ読み込んで動きます。

また、今回のレビュー記事を書く為に色々と調べていると、10GbE環境の場合はMTU(最大送信単位)を1500から9000に引き上げる「Jumbo Frame(ジャンボフレーム)」と呼ばれる設定変更を行うと、大容量ファイルの転送速度向上や、CPU負荷・パケット処理のオーバーヘッド軽減が期待出来るとのことなので、実際にやってみました。
「Jumbo Frame」はPC、NAS(ルーターを介する場合はルーターも)など、通信経路にあるすべての機器が「Jumbo Frame」に対応し、同じサイズに設定されている必要があり、今回はPC側のLANアダプタと「S5」のMTUの値を9000に設定してみました。

設定変更後の「CrystalDiskMark v9」の測定結果は下記の通りで、MTUが1500だった時と比べると読み込み速度が僅かに向上しています。「Jumbo Frame」にする意味があることも確認できました。

ここまでCrystalDiskMarkでの測定結果の評価でしたが、実際に16.8GBの動画ファイルをNASにコピーしてみたところ、実測で1000MB/sを超える速さで約17秒でコピー出来ました。オールHDDのNASの場合は300MB/sほどの速度で、約55秒かかったことから、3倍以上の差が出る結果に。


最後に、本体に表面が高温になることを示す注意シールが貼られていたので、おまけとして動作時の本体温度を測定してみました。その結果が下記画像の通りで、両側面とも40度ほどまでしか上がらず、手で触れないレベルではありませんでした。

ちなみに、「S5」に搭載した各SSDの温度も「デバイスモニタリング」アプリで確認可能。SSD2だけ突出して高くなっていますが、それ以外は大体30〜40度台で推移していました。「S5」はファンレスなのでユーザー側で冷やしたり対策出来る範囲は限られてるのですが、SSDの適正温度は30度〜50度前後と言われており、高温状態が続くと寿命を縮めたり、速度低下(サーマルスロットリング)を引き起こす原因になるので、SSDの場合は温度も気になるところ。

まとめ
ここまでオールフラッシュNASの「Minisforum S5」を紹介してきましたが、実測で約1,200MB/sのパフォーマンスを発揮し、パフォーマンスに関しては文句なしでした。
また、ファンレス仕様なので常時静音動作してくれることも満足出来る箇所の1つ。オフィスだとサーバールームに設置することもあるので、HDDでもそこまで騒音が気になることはないかもしれませんが、小さな事務所や自宅に設置する場合は身近に置くことも考えられます。筆者も事務所の片隅にHDD NASを置いてますが、HDDはアクセス時のシーク音には振動も伴い、耳障りで不快に思う場面も多々あるものの、「S5」にはそれが一切ないので有り難い。
ただ、昨今のSSDの高騰によりコスト面の問題がより大きくなってしまったことがある他、「S5」の性能を引き出すために出来れば10GbEのネットワークを構築したいところですが、10GbE環境を構築するとなるとルーターやスイッチングハブ、PC側にもまぁまぁな金額の投資が必要。
また、SSDの寿命に関する懸念も技術の向上や進化により実際の耐久性は数年前に比べると大きく向上しているものの、気にならないと言ったら嘘になるのが現状。NAS向けのSSDであれば総書き込み容量を示す「TBW(TeraBytes Written)」の値が高かく、安心材料になりますが、SSDの価格がより高くなるといったジレンマがあります。
そうは言ってもそういったマイナスイメージを払拭出来るくらいの性能を備えていることは確かなので、導入コストの問題はあるものの、動画などの大容量ファイルを良く扱う方はオールフラッシュNASを導入するのもありかもしれません。
最後に、NASとしては珍しくWi-Fi7を内蔵しているものの今回は触ることが出来なかったのですが、Wi-Fiは「MinisCloud OS」では利用出来ず、WindowsやLinuxをインストールして利用するユーザー向けとなっています。
なお、「Minisforum S5」の価格は101,599円(税込)で(SSDは別途必要)、Minisforumの公式ストアなどで購入可能です。



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