【レビュー】EarFun初のイヤーカフ型イヤホン「EarFun Clip」|LDAC対応・物理ボタン・ハイコスパなどが特徴

EarFunが今月初めに発売したばかりのイヤーカフ型ワイヤレスイヤホン「EarFun Clip」を提供頂いたので紹介します。
EarFunは2018年に経験豊富な工業デザイナー・音響エンジニア・音楽愛好者で構成されたチームにより、次世代のワイヤレスオーディオ機器を製造することを目標として設立された米国の企業で、今では日欧米を中心とした世界100以上の国・地域で製品を展開しており、累計1,000万台以上の販売実績をあげている他、各メディアでも様々な製品で高評価を受け、賞も受賞しています。
ながら聴き用のオープンイヤータイプのイヤホンといえば耳掛け型とイヤーカフ型が人気を二分しており、今年5月には同社初の耳掛け式のイヤホン「EarFun OpenJump」を紹介しましたが、今回紹介するのは後者のイヤーカフ型で、軽快な装着感が特徴となっています。
詳細は以下の通り。
特徴や仕様

「EarFun Clip」は同社初のイヤーカフ型ワイヤレスイヤホンで、ダブルC構造 × 記憶合金 × 超軽量設計を採用し、あらゆる耳の形に自然にフィットする他、本体はわずか5.7gの超軽量なので長時間装着しても疲れにくいのも特徴です。
ドライバーユニットは10.8mmカーボンファイバー振動板ダイナミックドライバーを採用しており、低歪かつ繊細な表現力と力強い低音を兼ね備え、さらにブランド独自の低音強化技術「BassSurge」を組み合わせることで、迫力ある重低音を驚くほどクリアに体験出来る製品となっています。
さらに、Hi-Res Audio認証と高音質コーデック「LDAC」のサポートによる高解像度音質の提供や最新のBluetooth 6.0のサポートによる安定・高速な接続、直感的な操作が可能な物理ボタン、AIデュアルマイクによる通話ノイズキャンセリング、IP55等級の防水・防塵性能などを備えています。
また、バッテリー駆動時間はイヤホン単体ではLDACオンで5.5時間、LDACオフで最大10時間、充電ケース利用で40時間(LDACオフ時)となっており、バッテリー駆動時間としては家の中で何かしながら聴くのには十分な数値となっています。
主な仕様
ドライバー構成 | 10.8mmカーボンファイバードーム振動板ドライバー |
Bluetooth | Bluetooth 6.0 |
対応コーデック | LDAC, SBC, AAC |
ハイレゾ認定 | ○ |
連続再生時間 (イヤホン単体) | LDACオフ:最大10時間 LDACオン:最大5.5時間 |
連続再生時間 (充電ケース利用) | LDACオフ:最大40時間 LDACオン:最大22時間 |
バッテリー容量 | イヤホン:60mAh 充電ケース:490mAh |
防水規格 | IP55 (イヤホンのみ) |
重さ | イヤホン(片耳):5.7g 充電ケース込み:49.2g |
カラー | シルバーグレー・ホワイト |
同梱品や外観デザイン
まず、同梱品は本体とユーザーマニュアルと充電用のUSB-A – USB-Cケーブルのみ。イヤーカフ型はどこも大体こんな感じの構成で、安価なモデルはUSB-C – USB-Cケーブルではなく、まだUSB-A – USB-Cケーブルが主流です。

充電ケースは楕円形の丸みを帯びたデザインで、サイズは66×48.3×28mm。下記画像は「AirPods Pro 2」との大きさ比較ですが、上下左右は丸みがあるのであまり大きいとは感じないものの、イヤホンの形状上、厚さが28mmとかなり分厚いです。充電ケースは安価な製品ではたまにバランスが悪く開閉し難い製品もありますが、本製品は開閉し易いデザインで、イヤホン自体も取り出しやすい設計となっています。表面はマットな質感なので安っぽさもありません。

本体下部に充電用のUSB-Cポートが用意されており、その横にペアリングボタンが搭載されています。また、ケース前面の中央部分に充電状況やペアリングモードなどを視認出来るLEDインジケーターが搭載されています。

イヤーカフ型ではイヤホンを左右関係なく収納出来る製品も存在していますが、本製品は左右がきちんと決められており、収納する際も向きが間違えていると収納出来ない仕様。これは後述するスピーカーホールの角度にこだわりがある為なので致し方ないかと。また、イヤホンをある程度まで差し込むとマグネットで引き寄せられる仕組み。

イヤホンの形状は球形のスピーカー部分と豆状の本体およびバッテリーをブリッジ部分で繋いだデザイン。イヤホンの重さは片耳5.7g。ブリッジ部分は直径0.55mmのA級ニッケルチタン形状記憶合金ワイヤーが使用されており、耐久性を高めるとともに、肌に優しい液体シリコン素材を採用しています。また、本体の左右が直感的に区別できるようブリッジの付け根が色分けされており、細かいところにまで配慮されているのがよく分かります。
素材や質感に関しては、スピーカー部分は充電ケースと同じくマットな質感、ブリッジ部分はシリコン、バッテリー内蔵部分はプラスチック感がそのままといった感じで、統一感はないですが、価格を考慮すると妥協点かと。

イヤーカフ型イヤホンはスピーカーホールが球体部分の中央部に位置していることが多いのですが、本製品は斜め(45度)に向けて配置されているのが特徴。これは耳道の形状に沿って音を最適な角度で導くために、独自の音響工学に基づいて設計されたもので、音響エネルギーのロスを抑えながら、繊細なニュアンスまで正確に再現するとのこと。実際、イヤーカフ型はバッテリー部分の重みで耳に対して斜めにぶら下がる感じになることが多く、この45度の配置の方が理に適っているのかもしれません。

また、最近のワイヤレスイヤホンにしては珍しく本体部分の側面に物理ボタンを搭載しており、ボタンが無いほうがデザイン的にはスッキリするのですが、正直なところどの辺をタップしたら良いか慣れるまで操作し難いところがある他、イヤホンの装着位置を修正する際に誤作動を起こしたりする場合があるのですが、本製品はその点では誤作動を起こす心配がない上、ボタンを押せば確実に操作できるのが良いところ。

実際に装着したところが下記写真で、他のイヤーカフ型と同じく耳を挟み込むように装着するものの、圧迫感はありません。過去にも複数のイヤーカフ型イヤホンをレビューしていますが、個人的にはこの本体部分が豆状の形状が一番安定感があるデザインだと思っており、中には重力でイヤホンがイヤリングのように下に向いてズレてくるものもあるのですが、このデザインは本体側で耳の裏側をしっかり掴んでくれ、装着後に重力で落ちてくるといったこともありませんでした。



また、音楽などを停止したものの装着し続けたりすることがありますが、何かしているうちに着けていたことを忘れるくらいの装着感で、頭を振ったり飛び跳ねたりしても落ちることもありませんでした。ただ、激しい運動には向いていないので、運動する場合は耳掛け式の方が良いと思います。
公式アプリ
同社の他のイヤホンと同じくiOS/Android向けに用意されている無料の公式アプリ「EarFun Audio」で様々な情報を確認したり、設定の変更などが可能です。
トップ画面ではイヤホン本体および充電ケースのバッテリー残量が確認できる他、各種モードのオンオフが可能。音声レイテンシを削減出来る「ゲームモード」や立体感のあるサラウンド効果を作り出す「シアターモード」、イヤホンの音量を素早く下げる「マナーモード」が用意されており、「ゲームモード」と「マナーモード」は後述するボタンのカスタマイズ機能でボタン操作に割り当てることも可能なので、簡単に切り替えられるのが便利。

イコライザー機能は、予め21種類ものプリセットイコライザーが用意されており、プリセットから選んで簡単に変更することが可能な他、ユーザー自身が自由に設定出来るカスタムイコライザーや、実際にイヤホンを装着して聞こえる音域に合わせてイコライザを設定してくれる「適応イコライザ」も利用可能です。

アプリでは他にもイヤホンのボタン操作の内容を細かく変更可能な他、流れる音声ガイダンスの音量と言語の変更が可能です。また、あまり他社のイヤホンには無い機能ですが、聴力に影響が出ないよう音量の上限や左右の音量バランスを変更できる「聴力健康」という機能が用意されています。

同社のイヤホンはBluetooth接続が一定時間切断された際に自動電源オフとなる時間を変更出来る機能が搭載されており、5分〜120分で設定出来る他、自動で電源がオフにならないようにも設定可能。また、「イヤホンを探す」機能も搭載されており、左右のイヤホンを音を鳴らして探すことが可能です。ただ、GPSを利用したものではなく、あくまでBluetoothの接続範囲内で紛失した場合なので、家の中でどこか見当たらない場合のみに利用するものとなっています。

iPhoneはLDACに対応していないのですが、LDACに対応したAndroid搭載スマホであればアプリの「Bluetoothオーディオの品質」の項目で「音質優先 LDAC」の選択をオンにすることで有効化が可能。音質の設定を切り替える際はイヤホンの再起動が求められる仕組みで、「EarFun OpenJump」と同じく、Bluetooth接続の安定性を確保する為、LDACとデュアルデバイス接続は同時に利用出来ないので注意が必要。また、「シアターモード」もLDACをオフにしないと使えません。

まとめ

適応イコライザー機能を設定した後にLDAC対応スマホとの組み合わせで使ってみました。音質に関しては、LDACのきめ細かな高音域の質感を感じられるものの、デフォルトの状態では若干低音が弱めな感じも。この価格帯からすると十分過ぎる音質だと思いますが、イコライザー機能の「低音ブースト」を選択することで、より低音域の迫力が増し、全体的なまとまりが良くなった印象です。
ただ、5月にレビューした同社の耳掛け式のオープンイヤー型イヤホン「EarFun OpenJump」の方が全体的な音質は上といった感じで、ドライバーユニットのサイズが「EarFun Clip」は10.8㎜なのに対し、「EarFun OpenJump」は14.2㎜というところが影響しているのかもしれません。
なお、音漏れに関してはオープンイヤー型なので致し方ないですが、イヤーカフ型の中でも結構する方だと思います。周りの音が聞こえる位の音量での再生であればかなり耳元まで近づいて聞かない限り、何か再生しているのか分からないくらいですが、外音もしっかり聞こえるイヤーカフ型の場合、場所によってはどうしても音量を上げがちになる為、音漏れには注意が必要です。
騒音の多い外ではかなり音量を上げないと聞こえない場合もある為、外出時はノイズキャンセリング機能があるカナル型、家の中などは本製品といった感じで、状況に応じて使い分けるのが一番オススメです。
また、イヤーカフ型最大の人気ポイントといえば、軽快な装着感で、閉塞感がありカナル型を敬遠したいユーザーや、耳掛け式だとメガネのテンプル部分と干渉してしまうというユーザーにとっては、イヤーカフ型は格別といえるほど軽快な装着感をもたらしてくれます。実際、筆者も最近は家ではイヤーカフ型がメインとなっています。
さらに、この音質と機能性で7,990円と、1万円を大きく下まわる価格設定も大きな魅力で、オープンイヤー型、特にイヤーカフ型イヤホンが気になっているユーザーには候補の一つとしてオススメ出来る製品となっています。
現在、EarFun公式サイト および Amazon公式ショップでは、発売を記念し、クーポンコード「EARFUNCWTY」を決済時に入力することで更に25%オフの5,993円(税込)で購入可能です。クーポンコードの利用期限は8月4日までとなっているので、購入を検討している方はこの機会に是非どうぞ。
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