【レビュー】ACEMAGICの格安16インチノートPC「AX16 Pro」|古い世代のCPU & キーボードにクセがあるものの想像以上に使えた

Amazonでも高評価の格安16インチノートPC「ACEMAGIC AX16 Pro」をメーカーから提供頂いたので、どの程度使用出来るのか試してみました。
ACEMAGICは日本のAmazonでもミニPCなどを販売しているメーカーで、4万円台から購入出来る激安ノートPCが人気となっており、今回レビューする「AX16 Pro」もAmazonでの評価スコアは4.2点と高く、カスタマーレビューでもコストパフォーマンスに優れているとの評価が多いモデルとなっています。
そのレビュー通り、「AX16 Pro」の大きな魅力はコスパで、通常、ACEMAGICの直販サイトですとなんと60,990円(2025年5月13日現在)で販売されており、会員登録で貰える3,000円オフクーポンを利用すると5万円台で購入出来ちゃいます。Amazonではちょっと高めの79,998円となっているので、直販サイトで購入するのがオススメです。
仕様や外観等
「AX16 Pro」はCPUにAMD Ryzen 7 5700Uを搭載しており、AMD Ryzen 7 5700UはZen 2アーキテクチャを採用したLucinenne世代のモバイル向けCPUで、8コア/16スレッドで、ベースクロックは1.8GHz、ブーストクロックは4.3GHz、内蔵GPUはAMD Radeon Graphicsとなっており、2021年に発表されたちょっと古いCPUですが、ゲームなど3Dグラフィックス性能が必要のない作業であればまだまだ十分に使用出来る性能となっています。
また、RAMは16GBのDDR4 2666メモリを1枚搭載し、ストレージとしては512GBのM.2 2280 PCle Gen3×4 SSDが搭載されており、ディスプレイはフルHD解像度の16.1インチIPSディスプレイが採用されています。
ACEMAGIC AX16 Proの主な仕様
ディスプレイ | 16.1インチ IPSディスプレイ アスペクト比 16:9 解像度 1920×1080 |
CPU | AMD Ryzen 7 5700U |
GPU | AMD Radeon Graphics |
RAM | DDR4 2666 (PC4-21300) 16GB (空きスロット×1) |
ストレージ | M.2 2280 PCle Gen3×4 SSD 512GB |
無線 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
カメラ | 1,000万画素 (1280×720) |
バッテリー | 4700mAh 8時間 |
インターフェイス | USB-A (USB 3.2) ×2 USB-A (USB 2.0) ×1 USB-C×1 (電源用) USB-C×1 (フル機能) 3.5mm ヘッドフォンジャック ×1 HDMI ×1 microSDカードスロット |
OS | Windows 11 Pro |
重さ | 1.7kg |
サイズ | 368.8 x 233.4 x 18.7mm |
外観デザインやディスプレイなど
外観デザインは、天板と底蓋は金属製(アルミ?)となっており、キーボード面のみ樹脂製といった感じですが、キーボード面もカラーは統一されているので一見しただけでは分からないレベル。安価なノートPCにありがちなプラスチック感もなく、ボディの質感はしっかりしており、手触りや見た目から安っぽさやコストが削減されている印象を感じることはありません。

▼底蓋はこんな感じ。金属製なので触るとひんやりしています。

液晶ディスプレイはフルHD解像度と十分で、ディスプレイ周りのベゼルの実測値は左右が約10㎜、上が約12㎜となっており、狭額ベゼルとまではいかないものの、気にならないレベルです。画質に関してはクセがなく、なかなか綺麗です。有機ELなどに比べると劣りますが、事務処理や動画視聴等であれば十分だと思いますし、価格を考えると十分妥協出来るレベルかと思います。表面はアンチグレアタイプなので映り込みはほぼありません。

インターフェイス
右側面には3.5㎜ヘッドフォンジャック、USB-A (USB 3.2)、USB-A (USB 2.0)、microSDカードスロットが搭載されており、microSDではあるものの、SDカードがそのまま挿せるのは有り難い。

左側面にはUSB-C (電源用)、USB-A (USB 3.2)、HDMI、USB-C (フル機能)が搭載されており、電源や充電状況を示すLEDインジケーターがその横に配置されています。USB-Cポートはディスプレイ側にあるものは電源専用ですが、手前にあるものはフル機能となっており、こちらでも充電や電源供給は可能。また、USB-C (フル機能)は画面出力にも対応しています。
今の時代であればあまり困らないと思いますが、注意点としてはLANポートは搭載されていないので、無線環境もしくは有線LANアダプタが必要です。

キーボードはクセあり
キーボードのキーは実測値で、キーピッチは縦横ともに約16.0㎜、キーストロークは約2.0㎜となっています。

キーピッチ・キーストロークともに特に打ちにくいなどはなく、テンキーも付いているので、数字の入力もし易いです。hただ、本製品のキーボードには少しクセがあり、基本的には英語配列の為、日本語配列で使用するには付属のキーボードカバーを取り付ける必要があります。
カバーはキーボードにピッタリな設計になっているので、打っていてズレるとかはありません。しかし、1枚カバーを被せることになる為、打ちにくいと感じる人もいるかもしれません。埃の侵入防止やキーのテカリや剥げ防止には良いかもしれませんが…。
また、英語配列の影響でEnterキーが横長となっており、ここは慣れが必要です。トラックパッドは140×95㎜で大きく、タップ操作やマルチタッチにも対応しています。ただ、クリック操作は若干硬めで、トラックパッド中央部がクリックし難い箇所があり、左右寄りを使うといった慣れが必要です。


キーボードバックライトも搭載しているので、暗い環境でも打ちやすくなっています。前述した日本語配列のキーボードカバーはキーとキーの間は透明になっているので、バックライトの光が通る仕組み。

Webカメラも一応搭載
ディスプレイ上のベゼルには100万画素(1280×720)のカメラが内蔵されています。カメラは非常に小さいのでよく見ないと気付かないレベル。プライバシーシャッターなどはなく、稼働時にはインジケーターランプが点灯する仕組み。
画質は100万画素なのでノイズが多い印象で、少し暗めなので、Web会議で何とか利用出来るといったレベル。明るい部屋で利用することをオススメします。


同梱品など
本体以外の同梱品はユーザーマニュアルと電源ケーブル・アダプタのみ。電源アダプタは64.98W出力のUSB-Cタイプのものが同梱されています。


充電アダプタの重さは実測値で334gなので、1.7kgの本体重量と合わせると約2kgになります。16インチという大きさもあり、低価格なのでサブPCとして自宅などで据え置き、場合によっては部屋と部屋を動かしながら使うのにも合っている製品と思います。また、充電器は他社製のUSB-C充電器でも充電および利用が可能なので、もう少し小型で軽いものに変更するのも良いかもしれません。
RAMは増設可
拡張性や内部へのアクセスの容易さがアピールポイントの1つであるミニPCばかりをレビューしている癖で、本製品も開封してみましたが、RAMは16GB×1枚で、1スロット余っている為、増設可能です。SSDもM.2 2280規格のものであれば換装は可能な模様。

ちなみに搭載されているSSDはNatecという中国の格安SSDメーカーのもので、RAMは中国メーカーのものですが、モデル番号等で調べても出てきませんでした。こういうところでコストを抑えているようです。

ただ、SSDのCrystalDiskMarkでの測定結果は下記の通りで、シーケンシャルリードは3,500MB/sとPCle Gen3×4の転送速度の理論上の最大値である約4,000MB/sに近い速度が出ており、価格的にもっと遅いSSDが搭載されているものと予想していたので、想像以上に高速でした。この数値であれば使っていて遅いと感じることもなく、この価格だと十分過ぎる速度となっています。

パフォーマンス面
CPUに関しては上述した通り、数年前のチップであるAMD Ryzen 7 5700Uを搭載しており、実際に使ってみるまではもう少し動画がもたつくのかなと思っていましたが、事務作業やWeb閲覧等の負荷の軽い用途であれば軽快に動作してくれます。
参考までに、価格.comで現在販売中の同じ16インチで同じ価格帯のノートPCに搭載されているCPUを調べてみましたが、Intelの第12世代Core i3 1215Uや、AMD Ryzen 7 5700Uよりも世代の新しいAMD Ryzen 5 7533HSやAMD Ryzen 5 7535Uを搭載したモデルが主流となっています。価格.comにはこれらノートPCのCPU性能をベンチマークソフト「PassMark」で測定したスコアが掲載されていたので、本製品と比較してみました。
結果は下記の通りで、「PassMark」のベンチマークは世代の新しいCPUとも遜色ないレベルでした。「PassMark」のCPUスコアは15,000以上であれば快適な作業ができるとされており、20,000以上になると、3Dゲームや動画編集など、より負荷の高い作業にも対応できるとされているので、3Dゲームや動画編集は少し厳しいといった感じ。

ただ、「CineBench R23」や「GeekBench 6」のスコアは世代通りの結果となっており、大体この程度と考えておいた方が良さそうです。なお、このくらいのスコアが出ていれば、ネットやOfficeソフトの使用などの一般用途であれば、問題なく使えるレベルです。


次は、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを計測するベンチマークソフト「PC Mark 10」の測定結果が下記の通り。

「PCMark 10 Advanced Edition」では、「Essentials」「Productivity」「Digital Content Creation」「Gaming」の4つのテストグループのベンチマークを測定でき、各テストのスコアと総合スコアで性能を表します。各テストグループの詳細と目安は下記の通りで、Gamingについては目安は公開されていませんが、最新世代のモバイル向けCPUのスコアは5,000〜6,000台なので、ゲーム性能に関しては期待しない方が良いと思います。
- Essentials
- PCの基本性能を測るテストグループで、アプリの起動速度を測る「App Start-up」、Webブラウジングに関連する処理性能を測る「Web Browsing」、複数の参加者によるビデオ会議を想定し、処理に関連する性能を測る「Video Conferencing」という合計3つのワークロードを実行。
- 一般的な作業(Webブラウジング、文書作成、メールなど)で快適に利用するには4100以上のスコアが目安。
- Productivity
- Office Suiteのようなビジネスアプリの処理性能を測るテストグループで、ワープロソフトの性能を測る「Writing」と、表計算ソフトの性能を測る「Spreadsheets」という2つのワークロードを実行。
- オフィスワークや簡単なメディアコンテンツ制作など、より高度な作業をこなすには4500以上のスコアが目安。
- Digital Content Creation
- コンテンツ制作作業を想定したテストグループで、写真編集に関する性能を計測する「Photo Editing」、動画編集の性能を計測する「Video Editing」、3Dグラフィックスの表示とレイトレーシングによるレンダリングの性能を調べる「Rendering and Visualization」という3つのワークロードを実行。
- 写真編集、動画編集、3Dレンダリングなど、クリエイティブな作業を行う場合は、3450以上のスコアが目安。
- Gaming
- ゲームの実行に関わる性能を測るテストグループで、Futuremark製の3Dグラフィックスベンチマークソフト「3DMark」をPCMark 10向けにカスタマイズしたものが入っており,「Fire Strike」プリセットを実行。
グラフィックス性能については、試しに「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマークを動かしてみましたが、フルHD/ノートPC(標準品質)の設定でスコアは1713点、”設定変更が必要”との結果に。解像度をHD(1280×720)に変更しても同じ評価だったので、基本的に重たい3Dゲームはプレイ不可と考えた方が良さそうです。「ドラゴンクエストX」のような軽いゲームであれば動作可能でした。

発熱やファンノイズ
3Dゲームのベンチマークソフトで高負荷をかけている時のCPU温度は最大80度ほどまで上昇しますが、キーボード中央のディスプレイ寄りの部分がほんのり温かくなるレベルで、ファンノイズもサーッという音は聞こえるものの気にならないほどです。
16インチと筐体サイズが大きいこともあり、排熱に関しては特に問題はなさそうです。
Windowsのライセンス
Amazonのカスタマーレビューに「Windows」のライセンスがボリュームライセンスだったとの投稿があり、気になったので念の為調べてみましたが、OEMライセンスでした。

まとめ
「ACEMAGIC AX16 Pro」は、世代が古いCPUを搭載しているものの、まだまだ一般的な作業であれば十分な性能となっており、チープさを感じさせない質感を備えていることも特徴。手頃なパソコンをコストパフォーマンスを重視して買いたい人にはオススメです。
マイナス点はキーボードの配列やカバーにクセがあることと、RAMやSSDといったパーツがコスト削減の為に聞いたことがないメーカーのものが搭載されていること。ただ、コスパを重視するのであればその辺は割り切る必要もあり、価格を重視しつつも、最低限の品質は欲しいというユーザーには良いのではないでしょうか。
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