「SOUNDPEATS H3」 レビュー|1万円台前半で購入可能な3基ドライバー構成のフラッグシップモデル

SOUNDPEATSが、今年5月に発売したワイヤレスイヤホン「H3」を提供頂いたので紹介します。
「H3」は、2020年発売の「H1」、2021年発売の「H2」に次ぐ、ハイブリッド構成を採用した同ブランドのフラグシップ完全ワイヤレスイヤホンの最新モデル。中域用、高域用のバランスド・アーマチュア(BA)ドライバー2基に加え、柔軟性と通気性に優れるPUと自然な音色を生み出すウールの複合素材を用いた12mm径ダイナミックドライバーを組み合わせたハイブリッド仕様が特徴で、独自のチューニングとクロスオーバー設計の効果も相まって、低域の豊かさと中高域の繊細さを丁寧に描写するとのこと。
また、BluetoothのSoCにQualcommの最新チップ「QCC3091」を採用しており、ワイヤレスサウンドプラットフォーム「SnapDragon Sound」に対応し、コーデックはCD品質の44.1kHz/16bitロスレス再生が可能なaptX Losslessをはじめ、ハイレゾ品質の再生能力を備えるaptX Adaptiveや、LDACのほか、aptX、AAC、SBCなど、多数のコーデックをサポートしています。
ノイズキャンセリング機能は、フィードフォワード+フィードバックのハイブリッド方式を採用し、左右合計6基を配置した小型マイクによりSOUNDPEATS史上最高クラスの最大55dBの環境ノイズ低減を実現しており、AIがリアルタイムで周囲の環境を分析して自動で最適な抑制レベルに調整し、4000Hzという高帯域まで対応しているのが特徴。
なお、連続再生時間はイヤホン単体で約7時間、充電ケース併用で最大37時間で、わずか10分の充電で2時間再生可能な急速充電にも対応しています。
主な仕様
| 製品名 | SOUNDPEATS H3 |
| ドライバー構成 | ハイブリッド型 高性能バランスド・アーマチュアドライバー×2 12mm径ウール複合素材ダイナミックドライバー |
| Bluetooth | ver 5.4 |
| 対応プロファイル | HSP/HFP/A2DP/AVRCP |
| 対応コーデック | apt Adaptive/apt Lossless/apt/LDAC/AAC/SBC |
| ノイズキャンセリング | 対応 (ハイブリッド型/AIアタブティブANC対応) |
| 連続再生時間 | イヤホン単体:7時間 充電ケース併用:37時間 |
| イヤホン充電時間 | 1時間 |
| 急速充電 | 対応 (10分の充電で約2時間の音楽再生) |
| 防水規格 | IPX5 (イヤホンのみ) |
| 重さ | イヤホン(片耳):6g 充電ケース:53g |
| カラー | クリアゴールド |
同梱品や外観デザイン
同梱品は本体の他、説明書類、交換用のイヤーピース、充電用のUSB-C – USB-Aケーブルといった構成。ケーブルはそろそろUSB-C – USB-Cケーブルにするか、同梱自体をやめても良いかなと思います。

充電ケースは上部が半透明なスケルトンデザインになっており、薄らと中のイヤホンが見えるデザイン。中国系の安価なイヤホンに多いゴールドカラーと相まって高級感のあるデザインですが、日本ではゴールドカラーが嫌なユーザーもいると思うので、複数のカラーから選べたりしたら嬉しいところ。

ケースの背面にはSOUNDPEATSのロゴとペアリングボタン。

ケース底部に充電用のUSB-Cポートが搭載されています。ちなみにワイヤレス充電には対応していません。

充電ケースは筆者が使ったりレビューしたワイヤレスイヤホンの中(耳掛け式を除く)では最大規模の大きさ。下記は「AirPods Pro 2」の充電ケースとの比較ですが、かなり分厚いことも分かります。充電ケースの重さは実測値で53g。


ケースの蓋は開けやすい設計で、後述しますが、イヤホン本体が結構大きいので、ケースから取り出したり、収納する際に落とす心配は少ないかと。また、一部にレザー調の素材を用いて高級感のある質感を実現しています。

イヤホン本体はゴールドカラーとスケルトンが特徴。ゴールドカラーといっても充電ケースとは異なり、シャンパンゴールドっぽい少し明るめのカラーとなっていることに加え、スケルトンなカバーの内側に装飾されているので、そこまで嫌らしい感じはないです。

イヤホン本体のデザインをもう少し紹介。形状自体も特徴のあり、耳に接する面は完全なスケルトンデザインで中身が見える仕様で、スケルトン部分には透光率88%のPC素材が採用されています。イヤホン片耳の重さは約6gで、イヤホン本体はIPX5規格の防水性能に準拠しています。


ノズルは円形ノズルを採用しており、直径は約6mm。市販のサードパーティ製イヤーピースに交換することも可能かもしれませんが、装着感やノイズ低減性能にも関わるのでサードパーティのイヤーピースに交換する場合は注意が必要。なお、ノズル部分には電磁干渉抑止目的でアルミ合金にアルマイト処理が施されている他、イヤーチップを取り付ける部分にはイヤーチップの安定度を高めるためローレット加工(細かい凹凸)を施したメタルパーツが採用されており、直接目に入らない部分まで拘られています。

装着感

ケースから取り出して最初に見た時は「デカッ」と思ったくらいイヤホン自体がかなり大きい印象だったので、装着感を心配しましたが、自身にあったサイズのイヤーピースを付け、きちんと装着すれば耳の形状にピッタリ合う感じで逆に安定感があり、首を振ったりしても落ちることはありませんでした。
下記写真の通り、結構横に出っ張る感じの見た目になり、簡単に外れて落ちそうにも見えますが、すっぽり入っている感があり、意外にも装着感は良い感じです。重さも片耳6gと完全ワイヤレスイヤホンにしては重めですが、装着してしまえば重さは印象に残らないレベルで、長時間装着していても特に違和感はありませんでした。

ただ、大ぶりな形状であることは間違いないので、耳が小さいユーザーには合う合わないがあるかもしれません。ちなみに耳への装着検出機能は搭載されていないため、外しても充電ケースに両耳を入れるまで再生されたままになったり、装着しても自動で再生されないのが惜しいところ。
公式アプリやノイズキャンセリング性能など

iOS/Android OS対応の専用アプリ「PeatsAudio」では様々な設定変更やノイズキャンセリング等の切り替え、イコライザー機能などが利用可能。
本製品のノイズキャンセリング機能には、周囲の状況をAIが認識しノイズ低減レベルを自動調整してくれる「適応型ノイズキャンセリング」に、「室内」「屋内」「屋外交通モード」を加えた計4種類のノイズキャンセリングモードが用意されています。
実際にノイズキャンセリング機能の性能を電車などで試してみましたが、SOUNDPEATS史上最高クラスの最大55dBの環境ノイズ低減を謳っているだけあり、効果は十分かと。電車内で有効化すると電車のガタンゴトンという走行音までは流石に難しいものの、周りの喋り超えや風切り音等のノイズはサーッと消える感じ。家の中でもテレビなどの音もほぼ聞こえなくなるレベルです。
ノイズキャンセリングの各モードを切り替えても正直なところ違いはあまり分からないレベル。唯一はっきり分かったのは室内モードではキッチンでお湯を沸かす音が適応型よりも聞こえなくなったこと。また、風切り音を低減してくれると思われる屋外交通モードに関しても風切り音の低減効果は低いので、基本的に適応型で良いと思います。

外部音取り込みモードも珍しく「標準」と「人の声を強調」の2モードが用意されており、聴き比べてみましたが、その違いはかなり僅かではあるものの、「人の声を強調」モードでは話し声が少し大きめに聞こえる印象。外部音取り込みモードは製品によっては自然というよりも増幅された感が分かる製品もありますが、本機は結構自然な印象。また、声に特化している部分もあり、音楽の音量をかなり上げ、テレビの音声は何を話しているか分からない状況でも人の声だけは普通に話せるレベルで聞こえて来ます。
対応するAndroidデバイスでは、LDAC/aptX Lossless/aptX Adaptiveが利用可能。LDACは他の格安イヤホンと同じくマルチポイント接続との併用が不可能です。

また、SOUNDPEATSの他のイヤホンと同じく、アダプティブ(適応型)イコライザー機能が用意されており、テストを行いユーザーの聞こえ方に合わせて音質を調整してくれます。さらに、通常のインコライザー機能は多数のプリセットが用意されている他、カスタムイコライザーで自分好みの音質に調整することも可能です。

タッチコントロールは細かなカスタマイズが可能で、誤操作を防ぐために完全にオフにすることも可能。他にも、音声ガイダンスの言語の切り替えや音量の調節、イヤホンを探す(GPS利用ではなく、単に音を発するのみ)、装着テストなどの機能も用意されています。

音質や総評

音質に関しては、LDACで接続してみましたが、第1印象はバランスの良い音質といった感じ。
本機は豊かな低音域と中音域を表現するPU+ウール素材の振動板を備えた12mmの大口径ダイナミックドライバーと、中高音域に1基、高音域に1基という2つのBAドライバーを搭載した計3基のドライバーを搭載しているので、非常にバランスの取れた音を楽しめます。
低音は迫力と躍動感があり、中音も結構強く、男性のボーカル音が前面に出る印象。高音域もクリアですが、曲によっては少し中低音が強めに感じる面も。
また、全体的な音の解像度は「AirPods Pro」などのハイエンドモデルに比べると少し低いですが、聴き比べない限りは分からないくらい本機も十分なレベルなので、価格等を考慮すると音質は普通に良いと思います。
マイナス点としては価格を考慮すると仕方ない部分もありますが、ワイヤレス充電やイヤホンの装着検出機能が搭載されていないことや、LDAC利用時にマルチポイント接続が利用出来ないことでしょうか。また、少しイヤホン本体が大きめなので、耳が小さい方には装着感に不安が残る部分があると思います。逆にそれ以外の面では不満は少ないモデルとなっており、同価格帯でステム(棒状の部分)がない完全ワイヤレスイヤホンはなかなか無いので、スッキリしたデザインも含めてコスパが良くて完成度の高いワイヤレスイヤホンを探している方にはオススメです。
なお、通常価格は15,880円(税込)ですが、セールなどでは12,000円台で購入可能です。


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