『OSCAL TIGER 8』レビュー|割り切りも必要だが、約2万円で購入出来る120Hz対応大画面スマホ

OSCALが、先月末に発売した5G対応の新型スマホ「TIGER 8」を提供頂いたので紹介します。
「OSCAL?」といった感じで筆者自身も聞いたことがなく、最初は怪しい新興ブランドかと思いましたが、よくよく聞くとコスパに優れたタブレットに加え、堅牢なボディを備えたスマホを続々と投入しているBlackviewの系列ブランドとのこと。確かにBlackviewと同じくタフネスモデルを多く投入しています。
今回紹介する「TIGER 8」の魅力はなんと言ってもその価格で、通常価格は29,900円からですが、セールを利用すると2万円未満からで購入可能です。
詳細は以下から。
OSCAL TIGER 8の仕様

まず、「TIGER 8」の主なスペックは下記の通り。
| SoC | 5G Unisoc T8100 8コア 最大2.2GHz |
| RAM | 4GB LPDDR4X + 8GB拡張 8GB LPDDR4X+16GB拡張 |
| ストレージ | 128GB UFS2.2 (microSDカードで最大2TBまで拡張可能) |
| ディスプレイ | 6.88インチ IPS液晶ディスプレイ 解像度:1640×720 画素密度:260ppi リフレッシュレート:最大120Hz 輝度:450nits |
| フロントカメラ | 800万画素 |
| リアカメラ | 1600万画素 |
| バッテリー | 5000mAh 18W急速充電対応 |
| 生体認証 | 顔認証 指紋認証 |
| 位置情報 | GPS GLONASS Galileo Beidou |
| 無線 | Wi-Fi、Bluetooth、NFC |
| SIM | デュアルSIM |
| 対応バンド | GSM:B2/B3/B5/B8 3G:B1/B2/B5/B8; 4G LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B19/B20/ B26/B28AB/B38/B40/B41/B66 5G:n1/2/3/5/7/8/20/26/28/38/40/41/66/77/78 |
| コネクタ | 3.5mmジャック USB Type-C |
| 防水性能 | × |
| OS | DokeOS 4.2 (Android 15ベース) |
| 本体サイズ | 171 x 78 x 8.45mm |
| 重さ | 約210g |
「TIGER 8」は、6nmプロセスで製造され、8コア(Cortex-A76×4 + Cortex-A55×4)、最大2.2GHz駆動の5G対応Socである「5G Unisoc T8100」を搭載し、RAMは4GB LPDDR4Xを搭載し、最大8GBの拡張RAMと合わせた最大12GBモデルと8GB LPDDR4Xに最大16GBの拡張RAMと合わせた最大24GBモデルの2モデルが用意されており、今回紹介するのは後者の24GB RAMモデル。
ちなみに、拡張RAMとは、十分な内部ストレージがある場合に、そのストレージの一部をRAMのように使用する仕組みで、より多くのアプリをバックグラウンドで開いておくことが可能になります。なお、そのストレージ容量は128GBで、microSDカードにより最大2TBまで拡張可能。

ディスプレイは6.88インチのIPS液晶ディスプレイを搭載し、解像度はHD+(720×1640)とエントリーレベルの仕様で、画素密度が260ppiと少し低めなので、ハイエンドモデルなどと比較すると文字がボヤけて見えるなど、この辺は価格を考えると致し方ないところかと思います。ただ、エントリーモデルにしては珍しく最大120Hzのリフレッシュレートに対応しているのは良い点で、スクロール時にヌルヌル動く感覚を味わうことが可能。

明るさは最大450nitとなっており、室内や日陰での使用には十分ですが、屋外での使用時に明るさが足りず見にくさを感じる場面がありました。
リアカメラは1,600万画素の1眼カメラとなっており、別途、背景ボケ撮影をサポートする為の200万画素の深度カメラを搭載。動画は4K動画の撮影に対応する他、800万画素のフロントカメラが搭載されています。
バッテリーに関しては大容量の5000mAhバッテリーが搭載され、スタンバイは444時間、動画再生で8.5時間、ゲームで8時間の利用が可能で、充電は18W急速充電にも対応し、43分で50%まで充電可能です。
ネットワークに関しては、NTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルなど、日本の主要キャリアが使用する5Gおよび4G LTEの周波数帯に幅広く対応しており、OSはAndroid 15ベースのDokeOS 4.2を採用し、独自開発のAIアプリがまとめられた「Doke AI Suite」が搭載されているのも特徴。
外観デザイン
まず同梱品ですが、中国の格安スマホはどこも同梱品が充実している印象で、「TIGER 8」も標準で保護ガラス、TPU製の保護ケース、充電器、充電ケーブルが付属しています。国内の大手キャリアなどでも販売されているような著名メーカーの製品とは違い、アクセサリが少ないことが多いので、この点では標準で付属しているのは有り難い。ちなみにディスプレイには標準で保護フィルムが貼られており、保護ガラスは当面は貼る必要はないかもしれません。

付属のUSB充電器はUSB-Aタイプな上、プラグが日本仕様ではないことから、使うには変換プラグが必要。コストの関係もあると思いますが、日本で発売するには日本対応の充電器を同梱して欲しいところ。なお、出力は最大18Wに対応しています。


次に本体デザインですが、前面は画面上部に小さなノッチ型のフロントカメラが搭載されており、フロントカメラは800万画素。ディスプレイ周りのベゼルは四方均等ではなく、写真では角度の関係で少し歪んで見えますが、画面下部のみ少し太めになっています。ディスプレイの性能は上述した通りですが、タッチ操作で特に反応が遅いなどはありません。

ディスプレイサイズは上述した通り6.88インチで、本体サイズも171 x 78 x 8.45mmとなっているので、かなりデカいです。下記画像は女性の手で持った場面ですが、身長178cmで手が大きい方の筆者でも片手操作はギリギリといった印象。

本体左側面にはSIMカードスロットが用意されているのみで、右側面には音量調節ボタンと電源ボタンが用意されています。各ボタンとも反応も問題なく、押し難い等もありません。SIMカードスロットはデュアルnanoSIMカード、もしくは最大2TBまでのマイクロSDカードを挿入可能です。


電源ボタンには指紋センサーが内蔵されており、電源ボタンを押してディスプレイを点灯させると同時に指紋認識を完了してくれるので、指紋派のユーザーにとっては便利。センサーの精度に関しては特に違和感やエラーが多発するといった印象はないものの、センサーが細い為、指を当てる角度によってはエラーが出ることから、同じ指を登録することでより精度が上がるのでオススメです。また、本製品では指紋以外に顔認証にも対応しています。顔認証はフロントカメラを用いる形で、精度というよりも認識範囲が狭く、顔を真正面にしていなければ反応しない場面も多々あることから、指紋と併用することをオススメします。

本体上部は何もなく、本体下部は左から3.5㎜イヤホンジャック、マイク、USB-Cポート、スピーカーといった構成。3.5㎜イヤホンジャックが搭載されているのは有線派にとっては嬉しいところ。ちなみに本機は防水性能はないので、水没等、水回りで使用する際には注意が必要です。


カラーラインナップはブラックとブルーがあり、今回試用したのはブルーモデル。背面に関しては樹脂製ですが、光沢ある仕様となっており、チープ感はありません。リアカメラモジュールが背面上部の中央に配置されており、写真を撮り忘れてしまいましたが、カメラモジュールは約3㎜ほど出っ張っています。中央に配置されているので、出っ張っていても背面を下に向けて置いた際に本体がガタつくことはありません。

リアカメラは一見すると3眼カメラに見えますが、実際には1,600万画素の1眼カメラで、もう一つは背景ボケ撮影をサポートする200万画素の深度カメラとなっており、深度カメラは単体では機能しない補助カメラなので実質1眼カメラとなります。また、LEDフラッシュ下にもカメラっぽいものが搭載されているように見えますが、ここはあくまでカメラっぽいデザインの装飾で、何も搭載されていません。なぜこの装飾を採用したのかは不明ですが、コスト削減の為、他の製品の部品を流用したのかもしれません。ただ、個人的には2眼+フラッシュを変に配置するよりも、この方がシンメトリー(左右上下対称)でパッと見た時のバランスは良いと思うので、これはこれで良しといった感じです。

参考までに6.3インチのディスプレイを搭載した「iPhone 17 Pro」との大きさを比較するとこんな感じです。


厚さは8.45㎜で、薄くもなく厚くもなくといった感じ。下記画像は厚さ8.75㎜の「iPhone 17 Pro」との比較。「TIGER 8」はエッジに丸みはなく、シャープなデザインなので、僅かに厚い「iPhone 17 Pro」の方が手に馴染みやすい印象です。なお、本体の重さは実測値で212gで、実際に手に取った時は大きさの割には軽く感じます。

ここまでのスペックを見てお気づきの方もいるかもしれませんが、「TIGER 8」は親ブランドであるBlackviewの「SHARK 6」と中身のハードウェア仕様は同じで、外観デザイン面ではリアカメラ部分の装飾デザインが少し異なっているモデルとなっています。
パフォーマンス
実際のパフォーマンスはどうなのか、Antutuでベンチマークテストを行ってみました。
Antutuベンチマーク(ver11)のスコアは下記の通りで、総合スコアは643523点。60万点以上であればミドルレンジモデルといった位置付けで、普段使いの操作、一般的なアプリ、軽めのゲームが快適に利用可能なレベルとなっています。

また、参考までに人気オープンワールドRPG『原神』をプレイしてみましたが、画質設定はデフォルトでは「最低」に設定されており、デバイス負荷は「スムーズ」ですが、一つ上の「低」するとデバイス負荷は「非常に高い」になります。
試しに画質設定を「最高」にしてプレイしてみましたが、本体は非常に熱くなるものの、カクつくこともなく、特にプレイに支障はありませんでした。フレームレートを測定するアプリで確認したところ、30〜55fpsで推移し、30fps以下に落ちることはほぼありませんでした。

カメラ性能
本機に搭載されているカメラの性能も検証してみました。下記は1,600万画素のリアカメラで撮影した写真のサンプルで、晴天下の昼まであればそこそこ綺麗に撮影出来ます。





夜間撮影は一応夜間撮影モードが用意されており、通常撮影よりも明るく撮影出来ますが、オートフォーカス速度が甘く、シャッターの反応速度が遅いのでピンボケや手振れが昼間よりも発生し易く、なかなかブレずに撮影するのが難しい印象でした。夜間に20〜30枚撮影したものの、ブレやピンボケのない写真を探す方が難しいくらいで、夜間撮影を行う場合は三脚等を使用して極力ブレないようにする必要がありそうです。

ズーム性能は最大4倍まで可能で、下記は1倍と2倍で撮影した画像。光学ズームなのでどうしても粗くなってしまいますが、許容範囲ないといったレベル。


動画撮影性能
動画撮影性能に関しては、画質は晴天の下では白飛びし易い印象で、手ブレ補正がないことから歩きながらの撮影はかなりブレます。4Kでの動画撮影が可能なので、画質も大画面で見なければあまり気にならないかもしれませんが、あくまでちょっとした記録に撮影しておきたい場合などに留めておくレベルかと思います。
その他
OSは「Android 15」をベースにカスタマイズした「DokeOS 4.2」を搭載しており、特徴としては「Doke AI」など独自のAI機能・アプリを標準で搭載しています。AIチャットや画像生成、テキスト・画像から動画への変換、音楽作曲などが利用出来ますが、基本的に全てサブスクリプションで課金が必要となっているのが痛いところ。正直なところ「Doke AI」はオマケと捉えておいて、「Gemini」や「ChatGPT」の機能を普通に使う形で十分だと思います。

また、バッテリーは上述した通り、5,000mAhバッテリーを内蔵しており、普通に使用する分には丸1日問題なく使えるバッテリー容量となっています。また、18Wの高速充電にも対応しており、実際に18Wで充電出来ることも確認済み。

最後に、Googleが提供するデジタル著作権管理(DRM)システムの「Widevine」は「L3」となっていることから、NetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスではフルHD再生ができず、SD画質に制限される点には注意が必要です。

まとめ
『OSCAL Tiger 8』は、セール時に2万円未満からで購入できるモデルでありながら、120Hz表示が可能な6.88インチディスプレイやミッドレンジレベルのパフォーマンスを備えたコストパフォーマンスに優れたモデルとなっています。
おサイフケータイ非対応や撮影出来るシチュエーションが限られるカメラ性能など、価格を考えれば致し方ない部分もありますが、電話だけの業務用や子供などの入門用(ちょっと画面が大き過ぎますが…)といった感じで割り切って使う分には十分なスペックとなっているので、安価なスマホを探している方には候補の1つになるのかもしれません。
なお、本製品には16GB+128GBモデルと24GB+128GBモデルの2通りがありますが、価格は16GB+128GBモデルが29,900円、24GB+128GBモデルが30,900円とほぼ変わらず、記事投稿時点でAmazonではクーポン利用で18,900と20,900円で購入出来るので、もし購入するのであれば少しでもRAMの多い24GB+128GBモデルの方がオススメです。

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